筆者の友人Aの話です。定年を控えた夫が「親孝行をしたい」と両親を温泉旅行へ招待したところ、旅行先で思いがけない現実に直面しました。
画像: 夫「親孝行のつもりだった」両親を温泉旅行へ招待。和室に泊めるも『思いがけない現実』に反省

親孝行の旅行

「親孝行をしたい」
定年を控え、以前ほど仕事に追われなくなった夫が、ある日そう言いました。
これまで仕事中心の生活を送ってきた夫は、両親とゆっくり過ごす機会があまりありませんでした。そこで、夫が自分で旅館を探して温泉旅行へ招待することにしたのです。

「きっと喜んでくれる」
夫はそう言いながら旅館を選び、旅行の日を楽しみにしていました。

予想外の苦労

ところが、宿泊先へ到着して部屋に入ると、私は少し心配になりました。
予約したのは和室で、寝る時は畳の上に敷いた布団を使います。
義父も義母も足が悪く、自宅では普段からベッドで生活していました。

夜になり、心配していたことが現実になります。
義両親が夜中にトイレへ行こうとしても、低い位置にある布団から自力で立ち上がるのが大変だったのです。
私たちはそのたびに起きて体を支え、トイレまで付き添いました。
せっかく休みに来たはずなのに、義両親にとって布団での寝起きは大きな負担になっていたのです。

初めて知る現実

部屋を変更できないか確認しましたが、その日は別の部屋へ移ることもできません。
困っている両親を目の前にして、夫はようやく自分が「今の両親の生活」を十分に理解していなかったことに気づきました。

「温泉なら喜ぶと思っていたけれど、本当に必要だったのは移動や寝起きのしやすさだったんだ」
夫はそう言って反省していました。
親孝行をしたいという気持ちはあっても、以前の両親の姿を思い浮かべたままでは、今必要な配慮に気づけないこともあるのだと、私も実感しました。

体験者の声

その後、再び義両親との旅行を計画した時、夫は迷わずベッドのある和洋室を選びました。
以前なら温泉や料理などに目が向いていた夫も、今度は部屋の設備や移動のしやすさを確認してから予約しています。

年齢を重ねると、同じ旅行でも必要な配慮は変わっていきます。
親孝行とは、自分がしてあげたいことをするだけではなく、今の親が無理なく過ごせる方法を考えること。
相手を思う気持ちと同じくらい、現在の暮らしや体の状態を知っておくことも大切なのだと、夫婦で学んだ出来事でした。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2026年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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