
「ちょっと待って」が積み重なる
T太は、大学に通いながら複数のアルバイトをしています。そのひとつが宅配ドライバーの仕事です。「大変なのは荷物を運ぶことだと思われるけれど、実は一番困るのは『ちょっと待って』なんだよね」と話し始めました。
インターホンを鳴らすと、「今メイク中だから待って!」「着替えてからすぐ行く!」「宅配ボックスを片付けるから少しだけ!」と言われることが珍しくありません。もちろん急な来客ですから、事情があるのは理解できます。しかし、その“少し”が毎回数分になるケースが多いのです。
1軒の数分が大きな遅れに
ある日、マンションで荷物を届けた際に「今手が離せないので2分だけ待ってください」と言われました。T太は玄関先で待ちましたが、結局出てきたのは5分以上後。
その間は次の配達へ向かうことができません。さらに再配達を減らすため、「もう少し待とう」と判断することもあり、予定していたルートが少しずつずれていきます。
1軒だけなら数分ですが、それが10件続けば30分以上遅れることもあるのです。
しかも、後ろには時間指定の荷物や冷蔵・冷凍の商品が控えていることもあり、一人のお客様を待つ時間が、その後のお客様全員へ影響する場合も。
何が正解なの?
そんな話を聞いた私は「じゃあ、どうするのが一番いいの?」と尋ねました。
するとT太は、「すぐ出られないなら、『今は受け取れません』『宅配ボックスにお願いします』『再配達にしてください』とはっきり伝えてもらえるほうがありがたいです」と教えてくれました。
体験者の声
待っていれば受け取ってもらえると思うと、その場を離れられません。しかし受け取れないと分かれば、すぐに不在票を入れたり、宅配ボックスへ配達したりと次の行動へ移れるそうです。
また、玄関に出る前に印鑑やスマートフォンを準備しておくと、受け渡しもスムーズになります。「待たせてごめんね」と笑顔で言われるとうれしい気持ちにはなるそうですが、それ以上に助かるのは、お互いの時間を大切にした受け取り方なのだとか。
私自身も「すぐ行きます!」と言って待たせたことがあり、悪気がなくても迷惑をかけていたのだと反省しました。宅配ドライバーの仕事は、多くの配達時間がつながって成り立っています。だからこそ、受け取れないときは無理に待たせず、状況を伝えることが一番の思いやりなのだと感じたエピソードでした。
【体験者:20代・男性学生、回答時期:2026年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


