
「いつもの」が通じない理由
Y子はネイルサロンで働くネイリストです。毎日さまざまなお客様を担当していますが、意外と困惑するのが「前と同じで」「私の好み、もうわかるでしょ?」というオーダー。
ある日、40代くらいの女性が来店すると、席に座るなり「今日は前回と同じでお願いね。あなた前も担当だったし、私の好みわかるでしょ?」と言ってきました。
しかし、Y子にはすぐには思い出せませんでした。ネイリストは1日に何人もの施術を担当しますし、デザインだけでなくカラーやパーツの組み合わせも何百通りとあります。顔は覚えていても、数か月前の細かなデザインまで完璧に思い出して再現することはなかなか難しいのです。
確認が大事
Y子は「カルテを一度確認しますね」と伝えましたが、そのお客様は少し不満そうな表情になり、「え? 前やってくれたじゃない。私、ベージュが好きって話もしたよね」と続けます。
もちろんカルテには施術内容は記録していますが、好みやその日の会話まですべて細かく記載しているわけではありません。もし曖昧な記憶で施術してしまえば、「思っていた色と違う」「前のほうが良かった」とトラブルになる可能性もあります。
だからこそ、クレームにつながるオーダーになりかねない施術ほど確認を怠らないことが大切なのです。
先輩からの言葉
後日、その出来事を先輩ネイリストに相談すると「お客様は覚えていてもらえるとうれしいのよね。自分の記憶を頼ってオーダーを決めたいところだけれど、それでもやっぱりカルテを確認することは絶対に怠らないで」と教えられました。
聞き方を変えただけで関係に変化が
それ以来、Y子は「たくさんご来店いただいているので、前回までの施術の中で、お気に入りのデザインのお写真があれば見せていただけますか?」「前回から変えたいところはありますか?」と『相手のことは覚えているけれど確認させてほしい』というような聞き方に変えてみました。
お客様側もスマートフォンで前回のネイル写真を見せたり、「前回より少し明るめで」と具体的に伝えてくれたりすると、とてもスムーズに施術が進むそうです。
Y子は「『前と同じ』ではなく、『この写真と同じ』『この色がお気に入りでした』と一言添えていただけるだけで、本当に助かります」と笑顔で話していました。
筆者の見解
常連だからこそ気を遣わなくていいと思いがちですが、スタッフは担当人数が多く、記憶だけで対応するのは難しい場合もあります。お互いに少しだけ情報を共有することで、イメージのズレを防ぎ、満足できる仕上がりにつながるのだと感じたエピソードでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


