一本の連絡が、義家族の「見えなかった事情」を知るきっかけになり──。
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突然の「帰ってこないで」に困惑

お盆には、家族で夫の実家へ帰省するのが毎年の恒例です。
義両親や親戚とは適度な距離感で付き合っていて、これまでトラブルもありませんでした。

ところが、帰省の一週間ほど前、義両親と同居する義兄嫁から突然
「今年は帰ってこないで」
と連絡が来たのです。

あまりにも唐突な言葉に、慌てて理由を聞きましたが、義兄嫁は「とにかく今は無理」「お義父さんたちには適当に理由をつけて」と繰り返すばかり。

思えば義兄嫁はいつも感情が読みにくく、どこか冷たい印象の人でした。

そのせいもあり、「もしかして、嫌われてしまったのだろうか。それとも知らず知らずのうちに何か失礼なことをしていたのかも……」と不安が募りました。

言えなかった理由

納得はできなかったものの、結局その年は子どもの夏期講習を理由に帰省を見送りました。

義両親からは「どうして帰ってこないんだ」と不満そうに言われましたが、なんとか同じ言い訳で乗り切るしかありませんでした。

そして夏が終わった頃、義兄嫁から改めて電話があったのです。

「実はお義父さんたち、お金に困っているの」

驚いて詳しく話を聞くと、義両親は投資に失敗して多額の借金を抱えており、お盆で集まるタイミングに、私たちにも援助を頼むつもりだったというのです。

思いがけない優しさ

義兄夫婦はすでに義両親から相談を受けていて、かなり高額な援助まで求められていたそうです。

しかも義両親は、一度断られると感情的になって「親を見捨てるのか!」と責め立てるタイプ。
帰省して直接話を切り出されれば、私たちも断れなくなっていたかもしれません。

だからこそ義兄嫁は、私たちまで巻き込まれないよう、帰省そのものを見送ってほしいと伝えることで、必死に守ろうとしてくれたのでしょう。

理由を知った瞬間、あの不可解な連絡の意味もようやく分かりました。

見かけの裏にあるもの

さらに義兄夫婦は、私たちが帰省せずにいるあいだに、これ以上問題が大きくならないよう、専門家に相談する道まで探ってくれていました。

その甲斐あって、親族間で安易にお金の貸し借りはしない方向で、なんとか話がまとまったのです。

それまで私は、義兄嫁を印象だけで少し冷たい人だと思い込んでいました。
人の本当の優しさは、見た目や態度だけでは分からないのだと教えられた出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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