昭和の時代では当たり前でも、令和になって「それは……」と思うことが増えてきました。時代が変わったと言えばそれまでですが、昭和生まれの筆者にとっては変な懐かしさや怖さを感じることもあります。筆者が経験した昭和時代のエピソードをご紹介しましょう。
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「変わった子」

私が小学生の頃、同級生に2人の対照的な子がいました。

一人はスカートやかわいらしい色やデザインを嫌がって、男の子がしていることの多い服装をしていたFさんという女の子。

もう一人は、男子と一緒にいることより、女子と遊ぶことを優先していたE君という男の子。

今でこそジェンダーレスが浸透し、多様性が認められていますが、FさんやE君のような子どもは、「ちょっと変わった子」というレッテルを貼られていました。

ひどい呼び方

Fさんは気が強く、はっきりとものを言うタイプだったので、あまりいろいろ言われることはありませんでした。
しかし、E君は大人しい子だったので、男子から「女男(おんなおとこ)」と言われるようになってしまったのです。
華奢な体つきで、物腰も柔らかく、感情を表に出さなかったE君は、格好の標的だったのでしょう。

その後、Fさんも「男女(おとこおんな)」と陰口を言われるようになり、「交換すれば?」などと心無い声をかける同級生も増えてしまったのです。

消息不明

中学に入学すると、Fさんが「サッカー部に入部したいのに顧問の先生に断られた」という事件がありました。
一方、E君は生きづらさを感じていたのか、夏休み前から学校へ来なくなってしまいました。

そして私たちが35歳の頃、小学校の担任だった先生が亡くなったという連絡が入り、同級生と葬儀へ行くことに。
久しぶりに会ったFさんは、結婚して子どもにも恵まれたと聞きました。
雰囲気は変わらずでしたが、お互いに「年取ったねぇ」と笑い合いました。
しかし、E君とは最後まで連絡が取れず、幹事の子に聞くと以前の実家にも誰も住んでいないとのこと。
中学1年生以降、彼の消息を知っている人は誰もいなかったのです。

自分らしさ

FさんもE君も、理解されない苦しみを抱えていたかもしれません。
令和の時代では当たり前のことでも、昭和の時代では「ありえないこと」「変わったこと」だったからです。

E君の消息は未だに不明ですが、どこかで自分らしく生きていてほしいと心から願っています。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:RIE.K
国文科を卒業し、教員免許を取得。OLをしていたが、父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄、多くの『ちょっと訳あり』な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子どもを養うために、さまざまな仕事の経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地・職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。

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