
「仕事なんてたくさんある」
M実は30代で、近所に住む10年以上専業主婦を続けてきた50代のK子とは、たまに立ち話をする仲でした。
ある日、K子が新たに仕事を探し始めたという話になり、その様子は自信満々。
「今はどこも人手不足でしょう? 私なんてすぐ採用されると思うの」
「再就職に苦労する人は条件を選びすぎなのよね!」と笑いながら、周囲の人にも聞こえるほどの大声で話しをしていたのでした。
現実とのギャップに戸惑う日々
M実はK子の話を聞きながら心の中で、「そんなに簡単なのかな......」と思っていたところ、いざ応募を始めた後の話を聞くと、現実は厳しいものでした。
書類選考で不採用が続き、面接でも「ブランクが長い点を心配しています」と伝えられるケースが相次いだというのです。
そのたびにK子は「人が足りないはずなのにおかしい」と首をかしげながらも、応募書類の書き方や面接対策を続けていたそう。
数週間経つとK子は疲れた表情で「社会復帰って思ったより簡単じゃないのね」と、最初の勢いが少し影を潜めたかのような本音を漏らしたものの「自分を選ばない理由がない」と再就職に対する考え方は変わっていない様子でした。
思わぬ一言で赤面する展開に
しかし、K子に転機が訪れたのは、合同企業説明会でした。以前、K子が「再就職なんて楽勝」と言い放っていた時に、同じ職業安定所に居合わせた女性求職者と再会したのです。
その女性は穏やかな笑顔で「私も最初は甘く考えていました。でも準備を重ねてようやく内定をいただけたんです」と話したそうです。さらに「仕事探しは、誰かと比べるものではありませんね」と続け、K子は何も返せず顔を赤らめて俯くばかりだったようです。
その日以降、K子は態度を改め、謙虚な姿勢で相談に臨むようになりました。履歴書を何度も書き直し、パソコン講習にも参加した結果、数か月後には希望に近い職場への就職が決まったのです。
筆者の見解
K子からこの話を聞いた時、私はK子の素直さと頑張りに対して、立派だと感じました。
人手不足という言葉だけで、就職の難しさを判断するのは早計かもしれません。経験や準備を積み重ね、現実を受け止めながら努力する姿勢こそが、新たな一歩につながるのだと感じさせられたエピソードでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Miwa.S
事務員としてのキャリアを積みながら、ライター活動をスタート。持ち前の聞き上手を活かし、職場の同僚や友人などから、嫁姑・ママ友トラブルなどのリアルなエピソードを多数収集し、その声を中心にコラムを執筆。 新たなスキルを身につけ、読者に共感と気づきを届けたいという思いで、日々精力的に情報を発信している。栄養士の資格を活かして、食に関する記事を執筆することも。

