筆者の知人Mは毎日のようにMの家の前で立ち止まる女性に不安を感じていましたが、ある日思い切って声をかけたことで、その女性が抱えていた思いを知ることになったのです。
画像: 「えっ、また家の前にいる」連日現れる謎の女性。意を決して声をかけると「実は」予期せぬ展開に!

「また来てる……」

数年前の梅雨の時期のことです。毎日のように、私の家の前で立ち止まり、庭のほうをじっと見つめている女性がいました。

最初は通り道でたまたま足を止めているだけだと思っていました。でも、何度も同じ姿を見かけるうちにだんだん気になるようになりました。
自宅を見られているような気がして、窓越しに女性の姿を見つけるたび、「また来てる……」と防犯面も含めて不安を感じていたのが本音です。

アジサイに込められた思い

ある日、女性が家の前にいるところへちょうど帰宅しました。
思い切って声をかけてみると、女性は少し申し訳なさそうに頭を下げながら言いました。
「お庭のアジサイを見ていたんです」

話を聞くと、そのアジサイは数年前に亡くなったお母さまが大好きだった花なのだそうです。母親を亡くしてからアジサイを見るたびに思い出し、つい足を止めてしまうのだと教えてくれました。

その言葉を聞いた瞬間、事情も知らないまま勝手な思い込みで警戒していたことに、申し訳ない気持ちになりました。

体験者の声

私は庭のアジサイを一輪切り、「よかったらお母さまに」と手渡しました。
女性は少し恐縮しながらも、「母も喜ぶと思います」と目を潤ませていました。

庭のアジサイは、今年も変わらずきれいな花を咲かせています。
見えている姿だけでは分からないこともあるのだと教えられた出来事でした。

【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:森奈津子
海外生活や離婚、社会人での大学再入学など、多彩な経歴を持つライター。現在は幼稚園教諭として保護者の悩みに寄り添うほか、日々の人付き合いの中から生まれるリアルな本音に耳を傾け、多様な価値観に触れてきた独自の視点でそれらを記事にしている。

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