筆者の離婚後、住む場所に困っていた私を助けてくれたのは独身の弟でしたが、一緒に暮らすうちに関係がぎくしゃくし始めてしまい──。
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弟の提案

「一緒に住もう」
離婚後、住む場所に困っていた私にそう声をかけてくれたのは、独身だった弟でした。
当時の私は仕事や生活の立て直しで精一杯です。
住む場所を探す余裕もなく、弟の申し出は本当にありがたいものでした。

最初の頃は特に問題ありませんでした。
家賃は弟が負担してくれ、その代わり家事全般は私が引き受ける。
私は弟の厚意に助けられながら、新しい生活を始めたのです。

すれ違い

ところが、しばらくすると生活のリズムが少しずつずれ始めました。
私の仕事が忙しくなり、深夜まで残業になる日も増えていきます。
当日になって残業が決まることも多く、帰宅が遅くなる理由を弟にその都度説明できない日もありました。
自室で食事を済ませ、そのまま寝るだけの日もあったのです。

もちろん何もしなかったわけではありません。
けれど、弟から見れば十分ではなかったのでしょう。
作り置きしていた食事は出来合いのものが増え、掃除もまとめてになっていたのも事実です。
何気ないことが積み重なり、以前のような気軽な会話も減っていきました。
同じ家で暮らしているのに、どこか気まずい空気が流れるようになっていたのです。

決定打

そんなある日のことでした。
弟は真剣な表情で私を呼び止めると「ちゃんとできないなら出て行ってほしい」と言ったのです。

私は言葉を失いました。
助けてもらっている立場だと分かっていた一方で、家族だから大丈夫だと思っていたのかもしれません。
ショックを受けた私は母に相談しました。
すると母は事情を聞くだけでなく、引っ越し先探しや初期費用の準備まで手伝ってくれたのです。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

母の本音

無事に引っ越しが終わった後のことです。
母が私にこう言いました。
「姉弟で無理して一緒に暮らして、仲が悪くなる方が心配だった」

私は驚きました。
母は私と弟のどちらかの味方をしたかったわけではありませんでした。
両親がいなくなった後、頼れるのはたった一人の姉弟だから。
だからこそ、一緒に暮らして関係が壊れるより、少し距離を置いてでも良い関係を続けてほしかったのだと言います。

その言葉を聞いて、母が引っ越しを手伝ってくれた理由が少し分かった気がしました。
当時はただ助けてもらったと思っていましたが、今振り返ると、母は姉弟のこれからを守ろうとしてくれていたのかもしれません。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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