初めて息子たちの学年が主体となった試合で筆者が見たある男の子の意外な一面は、私の思い込みを覆しただけでなく、ずっと距離を感じていたママとの関係まで変えてくれたのです。
画像: 少年野球で、打球が指に直撃! 激痛に耐え、打席に立ち続けた選手。最後は──「親も胸打たれた」

距離の縮め方が分からなかった

息子と同じ野球チームのA君は、いつもふざけているように見えて、どこか本気度が伝わってこない男の子でした。

A君のママとも、なんとなく壁を感じていました。同じ学年の親同士、仲良くなれたらと思いながら、どう接していいのか分からないまま時間だけが過ぎていたのです。

痛みの中で見せた11球の粘り

そんなある日、息子たちの学年が初めて主体となる試合がありました。

試合中、打席に立ったA君の指にファウルボールが直撃しました。
かなり痛そうな様子でしたが、彼が交代すればメンバーが足りず不戦敗になってしまう状況。
監督も親もなんとか踏ん張ってほしいと願っていました。

A君自身も、それを分かっていたのだと思います。
彼は、「さあ来い!」と大声を張り上げ、自分を奮い立たせるように打席へ立ち続けました。何度もファウルで粘り、実に11球。最後は三振に倒れ、ベンチに戻った時には堪えきれず大号泣。
打球があたった指は皮が酷くめくれ上がっていたのです。
相当痛かったであろう中での頑張りに、私は強く胸を打たれました。

思い込みが変わった瞬間

試合は負けてしまいました。

でも、痛みをこらえながら11球粘り、三振の後に涙を流したA君の姿は今も忘れられません。
ふざけているように見えた姿の奥に、誰よりも真剣に野球と向き合う心があったのかもしれません。

試合後、A君のママと自然に言葉を交わしました。それまでの壁が、いつの間にか消えていました。

体験者の声

同じ景色を見て、同じように一喜一憂する、その時間が積み重なるうちに、親同士の関係も変わっていくのかもしれません。

子どもたちの本気が、大人の思い込みまで溶かしてくれた出来事でした。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:森奈津子
海外生活や離婚、社会人での大学再入学など、多彩な経歴を持つライター。現在は幼稚園教諭として保護者の悩みに寄り添うほか、日々の人付き合いの中から生まれるリアルな本音に耳を傾け、多様な価値観に触れてきた独自の視点でそれらを記事にしている。

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