厳格だった母と、いつしか疎遠になってしまったB美さん。
そんな母が倒れたとの連絡を受けながらも見舞いを先延ばしにしてしまい、取り返しのつかない後悔を抱えることに――。
画像: 「母に嫌われていると思っていた」絶縁状態のまま迎えた突然の死後、遺品整理で見つけた『不器用すぎる愛』

厳しかった母との間にできた、深い溝

私の母は、とにかく厳しく、笑顔の少ない人でした。
そんな母に振り向いてほしくて、幼い私は勉強もスポーツも必死に頑張ったものです。

しかし、褒めてもらえた記憶はほとんどありません。
返ってくるのは、「もっとこうすればよかったのに」という、さらに高い要求ばかり。

「お友達のお母さんは、みんな優しいのに……。私のことが嫌いなのかな」
いつしか、私は母に心を閉ざすように。

大人になり、結婚して家を出てからは、母とは自然と距離を置くようになり、最近では、ほとんど連絡も取らなくなっていました。

突然の死別

そんなある日、母が倒れたと緊急連絡が入りました。
もちろん心配ですし、胸がざわつきました。

しかし、長年積み重ねたわだかまりが、私を素直にさせませんでした。
「今さら会って、何を話せばいいのかわからない」という戸惑いもあり、「もう少し落ち着いてから」と、先延ばしにしました。

少し身体を壊しただけで、また元気になるのだとばかり思っていたからです。

なのに、まさかそのまま帰らぬ人になるなんて――。

私は愛されていたんだ――

母の遺品整理中、押し入れの奥に大きな箱を見つけました。
開けてみると、中には、私の書いた作文や通知表、運動会の写真、遠足のしおりなどが、大量に保存されていました。
几帳面な母らしく、学年ごとにきっちりとファイリングしてあります。

「お母さん、全部取っておいてくれたんだ……」

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