筆者の話です。
病院の待合室でたまたま開いた漫画に、思いがけず心をつかまれました。
「早く呼ばれたいのに、呼ばれたくない」そんな不思議な感情が生まれた日のことです。
画像: 【病院の待ち時間】「早く呼ばれたい」から「まだ呼ばないで!」に。名残惜しくなった『偶然の出会い』

思わぬ拾い物

診察の順番を待っていたとき、棚に置かれた漫画を何気なく手に取りました。
話題作としてタイトルだけは知っていたものの、少年誌に掲載されていたこともあって購入までには至らなかった作品です。
普段は、呼ばれる気配に敏感な自分の性格をわかっているので、すぐに閉じられる女性誌を手にすることがほとんどでした。
それでもその日は、気になっていた好奇心が勝り、表紙をそっと開いてみることにしたのです。

夢中の時間

普段はあまり触れない画風でしたが、最初の数ページだけで胸をぎゅっとつかまれました。
「面白い」と思うよりも先に、気づけば背筋がわずかに前へ。
読み進めるほど世界観に引き寄せられ、指先がどんどん物語を追いかけていきます。
ページをめくる音が軽く響き、周囲の物音がふっと遠のくように感じました。

「そろそろ呼ばれるかも」と頭の片隅で思いながらも、目線は次のコマへ。
本来なら、早く呼ばれたいはずの日。
けれど心の奥では「まだ……」という小さな願いが芽を出し始めていました。

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