栄養士をしている私(筆者)は、法事で従弟の持ってきた高級梅干しを批判してしまいました。
実はその梅干しは、親戚経営の老舗ブランドのもので伝統と科学を融合した逸品だったのです。
うわべの知識だけで配慮を欠いた自分の心の狭さを、親戚の前で思い知り、反省した話です。
画像: 「添加物だらけじゃん」高級ブランド梅干しを“偽物”呼ばわりした私 → 親戚の前で大恥をかいたワケ

法事での出来事

法事の帰りに、従弟(40代・食品会社勤務)が嬉しそうに梅干しの箱を見せてきました。
「これ、会社の取引先からもらったんだ。高級ブランドらしいよ」

重そうな木箱入りで包装は確かに立派です。

私は栄養士の職業柄、無添加生活をずっと続けており、梅干しも手作りしています。
パッケージの裏面には、「梅」と「塩」以外の多くの原材料名が記載されていました。
添加物の横文字表記のオンパレードです。

私「……あー、これ添加物すごいね」
従弟「え? でも高級品だよ?」
私「高級なものと、私が求めるシンプルな本物は別。これ、梅と塩だけで作ってないでしょ?」

周りの親戚も「へぇ〜、そうなんだ」と私に同調。従弟は黙り込みました。
いつも私に何かと絡んでくる従弟をやり込めることができて、ひそかに満足感を覚えていたのです。

祖母からの電話で判明した真実

数日後、祖母から電話がありました。
「ねぇ、あの梅干しのこと、どうして“偽物”みたいに言ったの?」

話を聞くと、あの梅干しは主に叔母などの親戚筋が経営する老舗ブランドだったそうなのです。伝統製法を守りながら、減塩・食べやすさを追求した逸品。百貨店でも取り扱われ、プロの料理人も認める品だといいます。

私「で、でも添加物」
祖母「実際は昆布出汁を使っていたり、添加物もごく微量で、塩分を抑えるための工夫。従弟くん、きちんとあなたに説明しようとしてたのにねえ」

……まずい。

親戚の集まりでの気まずい展開

親戚の集まり。叔母がニコニコしながら私に話しかけてきました。

「あなた、この前の梅干しを“偽物”みたいに言ったんですってねえ?」

親戚一同「……え?」空気が凍ります。

従弟は穏やかに「成分表記だけを見て判断するのは早いよ。伝統と科学の融合って知ってる? 無添加が全てじゃない、味も確かめずに否定するのは、ちょっと失礼だよね」

親戚「そうよねぇ。せっかくの贈り物なのに」

叔母は私に向かって「知識も大事だけど、思いやりはもっと大事なのよ」とにっこりとほほ笑みました。

自分の心の狭さを知った日

無添加信仰にとりつかれて、配慮に欠けることをしてしまった私。

相手の説明も聞かず、善意の贈り物を頭ごなしに否定してしまいました。
その後の会食の際、例の高級梅干しが親戚全員にひとつずつ配られ、皆で美味しくいただきました。

専門知識は大切。
ですが、それよりも相手への思いやりと謙虚さが必要だと、身をもって学んだ出来事でした。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。

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