今回は、シングルマザーのA子さんにお聞きしたエピソードをご紹介します。
転校先で初めてできた友達に喜んでもらおうと、娘が<トンデモナイ行動>を──!?
娘としっかり向き合い、守っていくと改めて決意した出来事だったそうです。
画像: 小学生娘がよその子にゲームを買っていた。「な、何で」寂しさを募らせた娘の『切ない思い』に胸が詰まる

離婚後、母娘で新天地へ

私は離婚を機に、小学生の娘、B美と一緒に引っ越し、二人で新しい生活を始めました。

ただでさえ両親の離婚で寂しい思いをしているだろうに、環境の変化によるストレスも大きいでしょう。
娘のことが心配ではありつつも、私は私で仕事で忙しく、一人で子供を育てていくために、とにかく必死。

「友達ができるか不安。前の学校の方がよかった……」と小さく漏らした娘の話を、しっかり時間を取って聞いてあげることもできずにいました。

そんなある朝、娘が嬉しそうに言いました。
「今日は放課後、C子ちゃんと遊びに行ってくる!」

どうやら新しい学校で、初めて友達ができたよう。
学校での様子が気になっていたので、私もほっと胸をなでおろしたのですが、その晩、思いがけない電話がかかってきたのです。

娘の胸のうち

夕食時、娘は今日の出来事を嬉しそうに話してくれました。

そろそろ食べ終えて、片付けをしようかと思っていると、電話が鳴ります。
出てみると、C子ちゃんのお母さんからでした。

「夜分に恐れ入ります。実は今日、うちの子が新しいゲームソフトを持って帰ってきまして。
聞くと、B美ちゃんに買ってもらったと言うんです」

えっ!?
思わず声を失いました。

小学生のお小遣いで買うにしては、ゲームソフトの金額は高すぎます。
一度電話を切ると、すぐに娘を呼び出し、どういうことなのか問いただしました。

すると娘は、涙をこぼしながら打ち明けたのです。
「クラスでひとりぼっちでいたら、C子ちゃんが話しかけてくれて嬉しかったの。だから、お礼がしたかったの。欲しがってたゲームを買ってあげたら、ずっと仲良くしてくれるかなって思って」

万一のときのためにと、多めに預けていたお金を使ってしまったとのことでした。

お金で友情は買えない

娘の話を聞いて、胸が締めつけられました。
両親の離婚、急な転校、誰もいない家に帰る日々。
幼い娘なりに、人との関わり方を見失っていたのかもしれません。

私は娘を抱きしめ、目と目を合わせました。
「お金を出せば、友達になれるわけじゃないんだよ。そんなことをしなくても、人を喜ばせる方法はたくさんある。それを考えることのほうが、ずっと素敵なんだよ」

その夜は、娘とたくさん話をしました。
思えば、離婚してから、娘とこんなに向き合ったのは初めてでした。

ゲームソフトは未開封だったため、訳を話してお店に返品することができ、C子ちゃん親子にも、きちんとお詫びしました。

母の誓い

幸いなことに、C子ちゃんはとても優しい子で、それからもB美に変わらず接してくれました。
気づけば二人は親友に。

とはいえ、もし相手が違っていたら。
悪い友達に唆されて、親のお金に手をつけたり、万引きをしてしまう、なんてことだってあり得たかもしれません。

今回のことで、私自身も大変反省しました。
子供は親の想像以上に、色々なことを抱えて、思い悩んでいるのです。
ときに、どうすればいいかわからなくなって、突拍子もない行動をしてしまうことだってあります。

子供が間違った方向に進もうとしたとき、親がきちんとブレーキをかけてあげなければならない。
そのために、私はもっと娘の話を聞き、常に向き合うべきだったと思います。

「この子を守っていくのは、私しかいないんだ」
何を捨ててでも欲しかった親権を勝ち得た自分が、今後父親役も、母親役もしっかりと担わなければ。
改めて、胸に誓った出来事でした。

【体験者:40代女性・会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。

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