筆者の知人A子から聞いた話です。結婚して20年以上たった今でも、義母から受けた言葉や態度を忘れられないといいます。そんなA子が義母から“あるお願い”を受けたそう。彼女の決断に思わず共感せずにはいられませんでした。
画像: 授かり婚の私を“家族じゃない”と切り捨てた義母。「冷たい嫁」と言われても拒否した【義母からのお願い】

「まだ家族じゃない」と言われたあの日

入籍前で、お腹に赤ちゃんを抱えていた私。夫となる彼に連れられ、初めて彼の実家へ向かいました。
彼の母親は私を一目見て、にこりともしませんでした。

温かく迎えてくれるかなという小さな期待は、すぐに打ち砕かれます。

「あなたはまだ家族じゃないから」母親はそう言い放ち、私だけを別のテーブルへ案内したのです。

笑顔を作るのが精一杯でした。胸の奥がすっと冷えていくのを感じながら、お腹の子を抱え「授かり婚だから仕方ないのかな」と自分に言い聞かせました。

義母の言葉が心に刺さる日々

入籍を済ませ出産した後も、義母の態度は変わらぬまま。実家に呼ばれても、私の分だけ料理やお菓子が用意されていない。長男の嫁である義姉と露骨に比べられ「A子さんは気が利かないから」と嫌味を言われたことも1度や2度ではありません。

ある日、息子を見に自宅に来た義母は、彼を抱きながらわざと私に聞こえる声で言いました。

「ママに似ちゃだめよ〜。パパに似ないと!」

冗談のつもりだったのかもしれません。
けれど、何度も続いた冷たい態度に、受け流す余裕などもう残っていませんでした。いつも夫がいない2人きりの瞬間を狙って、義母は私を追い詰めました。その時間が、次第に恐怖へと変わっていったのです。

誰にも届かなかった声

勇気を出して夫に打ち明けました。しかし、夫は顔色一つ変えず、私を責めるような声で言いました。

「母さんが、そんなこと言うはずがないだろ。A子の考えすぎだ」

誰も信じてくれない。味方がいない現実ほどつらいものはありません。それでも、息子の笑顔を支えに「子どもが自立するまでは耐えよう」と自分に言い聞かせました。

「もう我慢しない」と決めた瞬間

時は流れ、息子が大学に進学し、ようやく私の心にも自由が訪れたと感じたころ。夫から青天の霹靂とも言える相談を受けました。

「母さんが一緒に暮らしたいって言ってるんだよね」

その言葉を聞いた瞬間、体の奥が凍りついたようでした。長年抑えてきた痛みが一気に蘇り体がこわばります。「またあの苦しみを味わうのか」と思うだけで息が詰まりそうになったのです。

私は夫の目を見てに静かに、しかしはっきりと伝えました。
「どうしてもお義母さんと同居するなら、私はこの家を出ます」

冷たいと思われても構わない。それが、20年耐え続けてきた私が、自分の心を守るために出した精一杯の答えでした。夫は私の本気を悟ったようで、同居の話は白紙に。長い年月を経て、私はようやく、誰のためでもない自分の気持ちに正直になれた気がしています。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

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