筆者友人C子の話。家事や子育てをひとりでこなし、ようやく一息つける夜。そんな時に、絶妙なタイミングで帰宅する夫。遅い時間だからガッツリ食べないとは知りつつ、何かつまんで晩酌したい夫に、つい小皿を出してしまう。でも肝心のリアクションがなく、私の中に積もっていくモヤモヤ……でもその小皿が、夫婦の絆を見直すきっかけになりました。
画像: もう“夫のため”に料理はしない! 妻としての使命感で自分を追い込んでいた私 → 夫から『驚きの反応』が

一息つけるはずの夜に

「また今日も遅いのか」子どもたちを寝かせ、洗い物も片づけて、ようやく一息つける夜の時間。そんなタイミングで玄関から聞こえる「ガチャ……」帰宅した夫は「ただいま」と言いながら、当然のように晩酌の準備を始めます。遅い時間にがっつりは食べないことはわかっているのに、気づけば冷蔵庫を開け、ちょっとつまめる“小皿一品”を用意してしまう私がいました。

反応は何もない

それは習慣のようであり、少し自分への使命感のようでもありました。私が作った小皿を前に、夫は黙ってグラスを傾けるだけ。せめて「ありがとう」のひと言があればと思うのですが、反応がないまま時間は過ぎていきます。心の中で「ん? これ、別に出さなくてもいいんだよね?」とつぶやきつつ、手はまた動いてしまうのです。

友人のひと言で気づいたこと

ある日、友人に何気なくこの話をしたら「なんでそんなに頑張ってるの? 旦那さんのせいっていうより、自分にそれを課しちゃってない?」と笑われました。その時、ハッとしました。確かに夫が求めているわけではなく、むしろ私自身が“妻としてやるべきこと”と勝手に思い込んでいただけなのかも……。肩の力を抜いて「今日はもう何も出さない」と決めた夜、私はソファに腰を下ろし、ようやく1日の終わりの、“自分の時間”と思えたのです。

小皿をやめたら会話が生まれた

そして意外なことに、夫は「今日は何もないんだね」と言ったあと、少し間をおいて「コンビニ行くけど、Cちゃんも何か食べる?」と声をかけてきました。驚きましたが、その日は珍しく、夫婦そろって晩酌をすることに。小皿をやめたことで、むしろ一緒に過ごす時間が生まれ、空気がやわらかく変わった気がしたのです。

無理しないことが絆に

小皿一品は、私の中で“優しさ”のつもりでしたが、無理して続ければ一人でへばってしまうのも当たり前でしょう。無理をやめたら、その分、お互い素直に「ありがとう」や「疲れたね」と言葉を交わせる余裕が生まれ、また「お疲れさま」という優しい気持ちで小皿を出せる日も多くありました。夫婦の絆は特別な出来事よりも、日常の中の小さな選択で深まっていくのかなと感じた出来事でした。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。

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