大人になると、親からのアドバイスが重荷に感じること、ありませんか? 自分のことを心配してくれているのは分かっていても、なかなか素直に受け取れない日もありますよね。今回は、筆者の友人のエピソードをご紹介します。
画像: 健康診断をサボり続けた私に、母が冷たく一言「私みたいになりたいの?」母が初めて明かした『後悔』

健康診断なんて不要?

私は、自分の健康に根拠のない自信を持っていました。
会社から毎年送られてくる健康診断の案内書類も「まだ若いし大丈夫!」と封も開けずにゴミ箱へ直行。

そんな私に、いつもうるさく注意してきたのが母でした。

帰省するたび「ちゃんと行きなさい」「結果はどうだったの?」と繰り返す母に、私は「過保護だよ!」と反発してばかり。

自分の体のことは自分が1番分かっているし、健康だと言っているのに……。
母がどうしてそんなに健康診断にこだわるのか、理解できませんでした。

母が明かした真実

その日も、電話口でお決まりの問答になりました。

「健康診断、行ったの?」という母の言葉に、ついに我慢できなくなった私は、「もう、何度も何度も同じことを言わないで! 元気だし大丈夫だよ」と、思わず声を荒らげてしまいました。

すると、受話器の向こうで母が静かに、しかしはっきりとこう言ったのです。

「……ママみたいになりたいの?」

その一言に、私は凍りつきました。
いつものヒステリーとは違う、深く、重い響き。
言葉を失った私に、母は静かに語り始めました。

「あなたと同じ歳で……」母が明かした真実

「ママはね、今のあなたと同じ歳でしこりがみつかって、がんの疑いがあったの」

今まで一度も聞いたことのない話でした。
母は、私を不安にさせたくない一心で、ずっとその事実を隠していたのです。

自覚症状もなく、今の私と同じように「まだ若いから大丈夫」と油断していた結果、健康診断でその事実が発覚し、数年に渡って定期的に検査を受けていたとのこと。

幸いしこりが悪性になることはなかったようですが、この一件で家族にどれだけ心配をかけたか、そしてどれだけ自分が不安だったのかということを語ってくれました。

母の言葉は、自分と同じ苦しみを娘に味わわせたくない一心からだったのです。

未来を守るために

電話を切った後、私は自分の浅はかさを心から恥じました。

翌朝、私はすぐに健康診断の予約を入れました。
母が守りたかった私の未来を、これからは自分で守っていく。
それが、母が教えてくれた、愛情の本当の意味なのだと気付いたからです。

親にとって、子どもの健康は何よりも大切なもの。
自分の体を大切にすることが、何よりの親孝行なのだと、今は思います。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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