新札が発行されて一年以上経ち、新しいデザインにも慣れてきたのではないでしょうか。ところで皆さん、二千円札のことを覚えていますか? 今ではなかなかお目にかかることはありませんが、どこか他の紙幣とは少し違う雰囲気のお札でしたよね。今回はそんなお札にまつわるまさかのトラブルに巻き込まれた経験のある筆者の知人、Wさんのお話です。
画像: 店員「こんなお金は使えません!」客「はい?」ドラックストアでいきなり偽札騒動が勃発したワケ

本に挟まっていたお札

Wさんは当時旦那さんと子供と新しい家に引っ越したばかりで、ばたばたと家の片付けに追われていました。

「この本もういらないかな」
前に住んでいた家から持ってきた古い本を捨てるかどうか悩みながらぱらぱらとめくっていると、ページの間からひらりと1枚の紙が落ちました。
「あ、二千円札!」
それはなんと、懐かしの二千円札。発行された当時に「記念に置いておこう」と本に挟んだまま忘れていたものでした。

「ラッキー、買い物で使おう」
Wさんは二千円札を財布に入れ、買い物に出かけました。

そして近所のドラッグストアで生活用品の買い物をし、会計をしようと二千円札をレジのトレーに乗せたのでした。
「じゃあ、二千円で」
Wさんの言葉に、レジを担当していた若い女性は怪訝そうな顔をします。そして指先で二千円札をつまみ、大きな声で言いました。
「こんなお札見たことないです、使えません!」

レジで偽札騒ぎ

女性店員は慌てた様子で店長を呼び、「偽札です! 警察に連絡しなきゃ!」と騒ぎ始めました。
一方でWさんはあまりに女性店員が騒ぐので、驚きのあまりその場に立ち尽くしてしまいました。
「何、偽札?」
「あの人が偽札出したの? そんな風には見えないのにね……」
Wさんはいわれのない偽札犯の疑いをかけられ、他のレジに並んでいた人たちからは不審者を見るような目で見られるのに耐えきれなくなって言いました。
「二千円札ですから!」
すると急いでやってきた店長らしき男性がWさんに向かって頭を下げました。
「お客様、大変申し訳ございません!」
店長はレジの女性店員に、「2000年に発行されたお札で、ちゃんとした日本のお金だよ」と二千円札について説明しました。

しかし女性店員はまだ納得いかない様子でWさんをにらみつけました。
「そんなの知りません! そんな紛らわしいお金使わないでください!」
その言葉に、さすがのWさんも堪忍袋の緒が切れました。
「勘違いして大騒ぎしたうえに、その言い方はないでしょう!」
買おうとしていた商品をそのままレジに置いて帰ったそうです。

その後すぐ、店長が追いかけてきて謝罪してくれましたが、Wさんは二度とそのドラッグストアには行かないと決めたそうです。

信じられない出来事でしたが、自分が知らないお金だからといって、いきなり偽札と決めつけるのはいかがなものでしょうか。知らないことでも安易に決めつけず、まずは冷静に判断することが大切ですね。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。

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