筆者の友人Aさんの話です。
Aさんは体が弱ってから、娘さんに介助を一手に引き受けてもらっていました。しかしAさんは息子さんのやさしい言葉に安心し、つい娘さんのことを「口がきつい」と評してしまったそうです。
その一言が娘さんの心を遠ざけてしまったことを知り、Aさんは言葉の持つ力に気づいたといいます。
画像: つい「口がキツい」と娘の愚痴ばかり。優しい息子と比べてしまった結果 → 『後悔する出来事』が!

息子の言葉に安心していた日々

体調を崩してからというもの、買い物や病院の付き添いなど、生活の細々したことは娘がすべて担ってくれていました。
一方、息子は数か月に一度顔を出す程度。でも、いつも穏やかな口調で「母さん、無理してないか」と声をかけてくれるのです。
そんな息子の言葉に安心し、Aさんは「息子はやさしいのよ」と周囲に話していました。

娘への愚痴がもたらしたすれ違い

しかし、娘のことはつい「口がきついから、すぐけんかになるのよ」と愚痴をこぼしてしまうこともありました。
女同士だからこそ、言いたいことを言い合う関係性。
実際、日々の生活の中で、言葉のやりとりで衝突することも多かったのです。
そんなAさんの言葉を偶然、娘が耳にしてしまいました。

娘の心が離れていった瞬間

「私が全部やってるのに……」
娘はそう感じたのか、それ以来、顔を出す回数がぱったり減ってしまいました。
不安になったAさんは友人に打ち明けます。すると「それはあなたが悪い。実際に動いてくれていた娘さんを大事にしなくてどうするの」と指摘されたのです。

「私は優しくないからね」
そう寂しそうにつぶやいた娘の顔が目に浮かびました。
はっとして、Aさんは自分の感謝の言葉の少なさに、ようやく気づいたのです。

気づいたのは「ありがとう」の大切さ

それからは、娘に「ありがとう」と伝えることを意識するようにしました。
すると娘の表情が少しやわらぎ、言い合いになることも減っていったのです。
息子の言葉が心地よいと思えたのは、うれしい言葉をかけてくれるからにすぎませんでした。

「ああ、自分に足りていなかったのは、やさしい声よりも、心からの『ありがとう』だった」
「ありがとう」を伝えるたびに見せてくれる娘の笑顔に、今ではそう感じているそうです。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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