筆者の話です。友人A子の結婚の報せを聞いたとき、私は手放しで喜べませんでした。A子の結婚相手について、あまり良い評判がなかったからです。親切心のつもりでA子に忠告しようとしたのですが、父に止められてしまったのです。
画像: 友人が“お金にルーズな男”と結婚しようとしてる。「私が伝えなきゃ」「やめなさい」父に止められたワケ

友人の結婚相手に不安の影

A子が結婚することになったと聞いたとき、私は複雑な気持ちになりました。なぜなら、お相手のB男には、あまり良い評判がなかったからです。
「お金にルーズ」「浮気をしていたらしい」そんな話を何人もの知人から聞いていたのです。
A子の幸せを思えばこそ、どうしても心配でした。

父のブレーキ

悩んだ末、母に相談しました。
すると、「結婚する前にわかった方がいい。あなたが伝えてあげなさい」と言われ、気持ちは固まりかけました。

しかし、それを聞いていた父が一言、「やめなさい」と言うのです。
そしてこう続けました。
「お前はB男さんのことをどれだけ知ってるんだ? それはあくまで噂だろう? 真実かどうかもわからないことを伝えて、もし結婚が破談になったら、お前は責任が取れるのか?」

正義は誰のもの?

父の言葉に、私はハッとしました。
私の中では「友達を助ける正義」のつもりだったのです。
でも、そもそもその正義は誰のものだったのでしょうか。

B男の過去を私は直接見たわけではありません。どれも他人の話、いわば伝聞です。それを「真実」と信じてA子に伝えることが、本当に彼女のためになるのか……。自信がなくなっていきました。

沈黙の中に学びがあった

結局、私は何も言いませんでした。
そしてA子は、予定通りB男と結婚しました。

あれからしばらく経ちましたが、今のところ問題はなさそうです。
もしも、あのとき私が忠告していたら……きっと今でもモヤモヤしていたと思います。
父の言葉「自分の正義を人に押し付けるな」は、今も心に残っています。
正義とは、時に一方通行なもの。
それに気づけたことが、あのときの一番の学びでした。

【体験者:50代・筆者 回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。

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