子どもであっても大人であっても、自分が損をすることは避けたいと思うものです。特に、発達障がいの特性がある場合、人とのコミュニケーションや感情のコントロールが難しく、人間関係を苦手とすることも多くあります。今回は、筆者の友人A子の娘・B子がお姉さんになったことをきっかけに大きく成長したほっこりエピソードをご紹介します。
画像: 発達障がいの娘が「ずるい!」と癇癪を起こす日々。妹ができて気づいた『思いやりの心』に母、ホロリ

こだわりが強すぎる娘。他人が自分より得することに納得できない

私の友人A子の娘B子は、小学校低学年。発達障がいの特性で、癇癪を持っています。また、こだわりが強く、自分の思い通りにならないと感情のコントロールが難しくなることもあります。

例えばB子の友達が家に遊びに来たときに、A子がお客さんであるB子の友達の方に気を遣って形の整ったケーキをあげると激怒し、大暴れ。また、祖父母の家で、B子と幼い親戚の子で取り合いになることがありました。そんな時、A子がB子に「お姉ちゃんだから譲ってあげて」と言うと、B子は激しい癇癪を起こし、手がつけられなくなりました。

A子は娘の自己主張を大切にしつつも、人との関わりの中で、時には譲り合うという選択肢があることを学んでほしいと願っていました。

とはいえ、癇癪をきっかけに1時間以上感情が収まらなくなってしまうため、A子の願い通りにはいきません。自宅以外の場所では周囲にも迷惑がかかるため、B子の希望を聞くしかありませんでした。

妹ができたことで、心に大きな変化が

そんなB子にも、妹C子が生まれました。最初こそ、C子におもちゃやベビー用のお菓子、洋服などを買うと「ずるい。自分もほしい」「不公平」と騒いでいました。例えば、A子が離乳食のゼリーを買うと、「私もおかしがほしい、妹だけずるい」と大騒ぎ。A子が「C子はまだ小さいから、ごはんは食べられないんだよ?」と優しく諭しても、"ずるい"と言って聞きません。

でも、B子の中で妹に対する愛情が育まれていくうちに、言動に少しずつ変化が見られるようになりました。B子はお店でベビー用のおかしを楽しそうに選んだり、「C子にこれがいいんじゃない? おいしそうだよ」と妹のために勧めてくれたりするようになりました。

また、A子が桃を「お姉ちゃんだから、大きい方ね」とB子にあげたときには、小さな妹に大きい方を譲ってくれたこともありました。

さらに、年下の親戚とは何かとケンカになっていたB子でしたが、最近はこうしたトラブルも激減したといいます。祖父母の家で小さな親戚が困っていたり、うまくできないことがあったりしたら、優しく手を差し伸べることも増えました。

A子は、娘の成長の何よりものきっかけは妹だと考えています。B子を通じて育児の難しさを痛感する日々が多かったため、二人目を産むことに長らく後ろ向きでした。しかし、B子は妹ができたことで心も安定し、年長者としての責任感も育まれていきました。A子は二人の育児を大変に感じながらも、それ以上に娘が人として大きく成長する姿を見ることに喜びを感じています。A子にとって、二人の子育ては、この上ない喜びになっています。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:太田あやこ
大学でジェンダーや女性史を学んだことをきっかけに、専業ライターとして活動中。自身の経験を活かしながら、幅広い情報収集を行い、読者に寄り添うスタイルを貫いている。社会の変化の中で、女性が直面する課題や選択肢に光を当て、より自由で豊かな生き方を模索する記事を執筆。人生の選択肢を広げるヒントを提供し、日々の悩みに少しでも明るさをもたらせるよう、前向きになれる記事づくりに取り組んでいる。

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