小さな頃から、毎晩の寝かしつけで娘に伝えていた「大好き」「生まれてきてくれてありがとう」という言葉。ある晩、それが思いがけない形で返ってきました。その言葉は、「ママ、先に生まれてきてくれてありがとう」。子どもならではの純粋な感性に触れ、親としての喜びと感動を感じた母と娘のささやかなやりとりを綴ります。筆者の体験談です。
画像: 3歳の娘「ママ、先に生まれてきてくれてありがとう」思わぬ言葉。その『真意』に母「胸がいっぱい」

毎晩繰り返してきた、あいさつのような言葉

「大好きだよ」「生まれてきてくれてありがとう」
娘が赤ちゃんの頃から、私は毎晩のように寝る前に布団で横になりながら、そう声をかけてきました。

たとえどんなに忙しい一日でも、この言葉を交わすことで心がほどけてあたたかい気持ちになり、親子の距離がふわっと近づく……そんな気がしていたのです。
娘もいつしか「ママだいすき」と返してくれるようになり、私たちにとって欠かせない時間になっていました。

返ってきた、思いがけない「ありがとう」

娘が3歳になった、ある夜。

私がいつものように「生まれてきてくれてありがとう」と伝えたあと、娘がぽつりと言いました。
「ママ、先に生まれてきてくれてありがとう」

一瞬、時が止まったような気がしました。あまりにも自然で、あまりにもやさしいその言葉に、「ええ!? うん、ありがとう!」と、思わず驚きの声が出てしまいました。
そして、「どうしてそう思ったの?」と尋ねてみると、娘は笑ってこう言いました。
「だって、ママがいないと、わたし、生まれてないでしょ?」

小さな娘から届いた、大きな愛

その言葉を聞いて、私は胸がいっぱいになりました。
毎晩伝えてきた想いが、娘の中でしっかり育っていたこと。
その子なりの感謝の気持ちが、こんなふうに言葉として返ってくるなんて……。
「ありがとう」は、受け取るだけでなく、返すことができるものだと、小さな娘が教えてくれた気がしました。

【体験者:30代・筆者、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。

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