子どもたちの「やりたい!」に応える幼稚園の現場では、先生たちの知られざる努力がありました――。筆者の友人が体験談を語ってくれました。
画像: おゆうぎ会は子どもたちが決める!? 「自由選択」型の幼稚園の先生が明かす『知られざる裏側』

「自分で選ぶ」が基本?

私は長年、幼稚園教諭として働いています。

私の勤める園は「子どもに選択肢を与える」教育を大切にしています。

「やらされる」のではなく「自分で選ぶ」ことに意味がある、ということです。でも、幼稚園の現場でそれを実践するのは思った以上に大変で……。

おゆうぎ会も自由選択制

例えば、おゆうぎ会。

少し前なら、クラス全員で同じ演目をして、衣装も振り付けも一つでした。

でも今は違います。

「子どもたちには選ぶ自由があるべきだ」という考えから、まずは先生がいくつかの演目を準備するところから始まります。

子どもの年齢や成長、性格に合わせて3パターンほど用意。それぞれに台本、衣装、練習方法を考え、子どもたちが自分で「やりたい!」と思えるよう、絵カードや写真で紹介。

そこから子ども自身が選ぶのです。

先生の知られざる苦労とは?

「選ばせてるんでしょ? 楽になったんじゃないの?」と言われたこともあります。

いいえ、とんでもない!

選択肢を用意するのは大仕事。選ばれた演目ごとにグループ分けして、練習時間も調整、進行のバランスも見直す。

衣装だってバラバラなので、保護者から「他の子の衣装が見たい」「うちの子はこれで本当に良いのか」といったご質問を個別にいただくことが増え、一つ一つ丁寧にお答えする時間が必要になるなど、なかなか大変なのです。

子どもたちの笑顔の力

子どもが自分で選んだ分、「やっぱりやめたい」「思ってたのと違った」と言い出したときには、どうフォローするかも先生の腕の見せどころ。
最初は戸惑っていた子も、粘り強く励まし寄り添うことで、最後には自信を持ってやり遂げ、達成感に満ちた表情を見せてくれる。そんな瞬間に立ち会えることが、何よりの喜びです。

それでも、自ら「やりたい」と選んだことに一生懸命取り組む子どもたちの姿を見ると、「ああ、やってよかったな」と思えます。

今の保育は、昔より柔軟になった分、先生の仕事はぐっと増えました。

でも、子どもたちが「自分で選んだ」ことに責任を持ち、誇らしげに舞台に立つ姿を見ると、大変さも全て報われるのです。

【体験者:30代・女性幼稚園教諭、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。

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