高齢の母のタクシー利用を少しでもラクにしようと、交通系ICカードをすすめてみました。使い方もバッチリ練習し、いざ実践。しかし帰宅した母は結局、現金で支払ったと言うのです。その理由を聞いて思わず笑ってしまいました。筆者の体験談です。
画像: デジタルに不慣れな母が「キャッシュレス」に挑戦するも、失敗! 思わず母も笑った『意外な理由』

小銭よりカードの方がいいかも

高齢になった私の母。タクシーを降りる時の様子を見ていると、小銭をじゃらじゃら取り出すのに手間取ったり、お釣りを握ったまま降りようとしたりして、ちょっと危なっかしいなと思う場面が増えてきました。

「交通系ICカードを使ったら?」と私が提案すると、母も「やってみようかしら」と前向きな様子。さっそくカードを用意し、私が使い方を説明。
家の中でシミュレーションを何度か繰り返し、「これで大丈夫!」と自信満々で出かけて行きました。

練習の成果

お出かけから帰ってきた母に
「どうだった? うまく使えた?」と聞くと、なぜか顔が曇っています。
「うーん……実は使えなかったのよ」と母。
あれ? 使い方は覚えたはずなのに。どこでつまづいたんだろう?
詳しく話を聞いてみると──。

使えなかったのは、まさかの……

「使えなかったのは、私じゃなくてね、運転手さんの方だったの」
……え?

聞けば、母が交通系ICカードを出すと、運転手さんが驚いた様子で
「おっ、できますよ! ちょっと待ってくださいね」と言って、慣れない手つきで機械を操作し始めたそう。
「あれ? こうだったかな? えーと、えーと、ちょっと資料を……」と、焦りながら機械をいじる運転手さん。
母が「あの、現金で払いましょうか?」と言うと
「助かります。実はまだ不慣れなもので」とホッとした様子だったということでした。

やさしい不器用さに、ほっこり

運転手さんは資料片手に操作していたけれどうまくいかず、結局現金で支払うことになったとのこと。
交通系ICカードデビューは次回に持ち越しとなったのですが、母は言いました。
「みんな、新しいことが苦手なんだね。私、仲間ができたみたいでなんだかホッとしたわ」
失敗とはいえ、母の顔は楽しそうでした。

【体験者:50代、筆者 回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ライター:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。

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