人の行動には、他人が知らない背景や理由があるものです。ほんの一場面、ほんの短い時間を見ただけで「きっとこの人はこういう人なんだ」と決めつけてしまうのは危険なことですよね。今回は筆者の友人の体験談をご紹介します。
画像: キャンプ場で、テント設営をするのはママと子どもだけ。手伝わないパパの『まさかの役割』に仰天

“おしゃれキャンパー”ファミリー登場

夏のある週末、私たち家族はキャンプ場で1泊することにしました。

テントを張るサイトを確保し、設営を始めた頃。
隣のサイトにワゴン車が到着し、私たちとそう変わらない年代のご夫婦と、小学生くらいのお子さん2人が降りてきました。

家族全員が最新のアウトドアグッズに身を包み、子どもたちも小さなリュックを背負っていて、全体的にキラキラとした雰囲気。
いかにも“おしゃれキャンパー”なファミリーという感じです。

「素敵な家族だな」と微笑ましく眺めていたのですが、次の瞬間、私は思わず目を疑いました。

信じられない光景に唖然

なんと、母親と子ども2人だけで、巨大なテントとタープの設営に奮闘しているのです。

父親は、少し離れた場所で腕を組み、じっと立っているだけ。
時折何か指示を出す素振りは見せるものの、一切手伝う気配がありません。

「見てよ、あれ……」夫も同じことを感じたのか、私のことを肘でつついて小声でつぶやきます。「ひどい亭主関白だな……」

同じ子育て世代として、私たちはすっかり同情モードになっていました。

声をかけたら、衝撃の真実が

特に、重いポールを必死で支える子どもたちの姿には、ハラハラさせられました。

もう見ていられない……! 夫と目配せし、私は意を決して声をかけました。
「あの、すみません! よかったら、お手伝いしましょうか?」

すると、母親は少し困ったように、でも優しく微笑んでこう言ったのです。

「お気持ちはとてもありがたいんですが、大丈夫なんです。実は私、アウトドア系のインスタグラマーでして……。今日は、『ママと子どもだけでも簡単に設営できるテント』っていうテーマで撮影中なんです」

その瞬間、木陰に置かれた三脚とスマホに気づきました。
私たちが「異常」だと思っていた光景は、コンテンツ制作の一環だったのです。

固定観念を見直すきっかけに

「パパはあえて手伝えないルールなんです」と笑う母親の言葉に、勝手な決めつけをしていた自分たちが猛烈に恥ずかしくなりました。

やがて撮影が終わると、状況は一変。
仁王立ちしていた父親は、誰よりも率先して夕食の準備を進め、子どもたちと全力で遊び始めました。
その姿は理想のパパそのもの。

私たちの思い込みは、見事に打ち砕かれたのでした。

見た目だけで人を判断してはいけない。
思い込みに気づかされた、忘れられないキャンプの夜でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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