今回は、知人のA子さんに聞いた、孫との関係で気づかされた“マダムとしての自分”への後悔の体験をご紹介します。上品さにこだわるあまり、いつのまにか“笑わないばあば”になっていたことに気づいた、心に残る一日です。
画像: 「ばあばといると、楽しくないんだもん」「えっ」どうして!? 孫の一言に【崩れ落ちた理由】とは

「ちゃんとした子に育てたい」の一心で

孫のK太は、今小学校1年生です。
娘夫婦が共働きのため、週に何度か私が世話をしています。
私は昔から“品のある女性”と呼ばれてきました。
姿勢、言葉遣い、食事のマナー。それらをK太にも伝えたいと思い、「箸はちゃんと持ちなさい」「姿勢が悪いわよ」「お行儀よくね」と、何かと口を出してきました。それが愛情のつもりだったのです。

笑顔のない時間と、予想外の一言

ある日、K太と近所の公園に行った帰り道、彼がぽつりと言いました。
「ばあばといると、楽しくないんだもん」
私は言葉を失いました。「どうして?」と聞くと、K太は小さな声で、「ずっと怒ってるみたいだもん」と。
その瞬間、何かが崩れ落ちるような気がしました。
私は“ちゃんとさせること”ばかりに必死で、K太の気持ちにまったく寄り添っていなかったのです。

上品さより、大切だったもの

家に帰ってから、私は鏡の前に立ってみました。
眉間にシワを寄せて、口角の下がった顔の自分。そこには、子どもが笑いたくなるような“ばあば”の姿はありませんでした。
マダムぶっていた私は、K太にとってただの“怒る大人”だったのです。
上品であることにこだわるあまり、一番大切な“あたたかさ”を忘れていたのだと気づきました。

「今日は、いっぱい笑ったね」

それから私は、K太との時間を少しずつ変えることにしました。
注意する代わりに、一緒に遊ぶ。説教する代わりに、話を聞く。そして、とにかく笑顔を忘れない。
ある日、K太が言ってくれたのです。「今日は、ばあばいっぱい笑ったね! また遊ぼう!」
その言葉に、私は思わず涙がこぼれそうになりました。
私はやっと、“マダム”ではなく、“ばあば”になれた気がしました。
これからは、上品さよりも、笑顔を大切に。そう思わせてくれた、K太の素直な一言に心から感謝しています。

【体験者:60代・専業主婦、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。

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