筆者の体験談です。
母は現在、施設で暮らしています。
病院や外出の付き添いは私の役目。毎回「これが食べたい」 とリクエストされますが、それがまさかの “探すのが大変なピンポイントな品” ばかりで──。
画像: 施設暮らしの母の「懐かしのお菓子リクエスト」に奔走 → 探し続ける中で気づいた『意外な真実』

母との外出は、ちょっとしたイベント

母はひとり暮らしが難しくなり、現在は施設で生活しています。
病院の付き添いや外出は家族の担当となり、私がその役目を担ってきました。

施設ではお餅など、のどに詰まりやすい食品は禁止されているため、母にとって外出は「好きなものを食べられる特別な時間」 になっているようです。
そのため、いつも少し食事を控えめにして、私の迎えを楽しみに待ってくれています。

「次はこれが食べたい」と言われたものは…

出かけるたび、母は食べたいものをリクエストしてきます。
ところが、その内容はなかなか一筋縄ではいきません。

「羊羹巻き」「昔どこかで食べた珍しいお菓子」「子どもの頃に食べた懐かしいパン」
など、どれもピンポイントで、探すのに一苦労。
スーパーを何軒もはしごしたり、デパートに足を運んだり。
時にはメーカーに問い合わせて「もう作っていません」 と言われたこともあります。

エスカレートするお願いに、モヤモヤも

そんな現状とは裏腹に、母のリクエストは、次から次へと続いていきました。
正直「これはどこまでやってくれるか試してるの?」 と思うこともあります。

もちろん、一緒に外出できているのはありがたいことです。
あと何回母のリクエストにこたえることができるのかと思うと、“なんとしても調達したい” と私も必死になります。
でも、手に入らない物を探して奔走する日々に、少しずつモヤモヤが募っていったのです。

私も、かつて同じことをしていた

そんなある日、ふと思い出したのは、私自身の子ども時代。
わざと親に無理なお願いをして、その反応を見て「どれだけ大切にされているか」を確認しようとしていた記憶です。

もしかしたら母も今、同じように “私の気持ち” を確かめているのかもしれない。
母のリクエストの裏にあるのは、離れて暮らす寂しさや不安の裏返しだったのかもしれません。
そう考えると、ちょっとだけ優しくなれた自分がいました。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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