仕事帰り、最終バスにギリギリで駆け込んだB子さんは、周囲の冷たい視線にいたたまれなくなっていました。 そんなとき、運転手さんがかけてくれた思いがけない一言に、心が救われたそうです。
画像: 最終バスに駆け込むも、周りから白い目 → 運転手さんの『思いがけない一言』に「明日も頑張ろう」

仕事に忙殺される毎日

最終バスまであと数分。
仕事終わりの私は、バス停まで全力疾走していました。

最近はとくに忙しく、いつも気づけばこんな時間になってしまいます。

帰宅するなりベッドへダイブし、早朝からまた出勤――。
自分の時間などまったく取れず、疲労がたまった体に鞭打って、機械的に毎日をこなしていました。

最終バスに滑り込み!

やっとの思いでバス停まで行くと、ちょうどドアが閉まろうとしているところでした。

「待ってください!」

大きく手を振りながら必死に声を掛けると、運転手さんはこちらに気が付きドアを再度開けてくれました。

出発時刻丁度になんとか滑り込むようにバスに乗り込んだ私。
ゼェゼェと肩で息をしながら、空いている席に腰を下ろしました。

ふと視線を感じ、周囲を見回すと、他の乗客から迷惑そうな目で見られていることに気づきます。
申し訳なさと恥ずかしさが一気に押し寄せ、汗だくの体以上に、心がヒリヒリと痛むのを感じました。

運転手さんのアナウンス

そのときです。静まり返った車内に、マイク越しの声が響きました。
「間に合ってよかったですね。今日もお疲れさまです。〇〇行き、出発します」

――え?
もしかして、私にかけてくれた言葉?

咄嗟に前方を見やると、背筋をピンと正し、まっすぐ前を見て運転する運転手さんの背中が目に入ります。

この人も、毎日こんなに遅い時間まで、私たちを帰路へ送ってくれているんだな。
頼もしいその背中を見ていると、ずっと張り詰めていたものが、ふっと緩んでいくような気がしました。

いつのまにか、他の乗客たちの表情も柔らかいものになっていました。

「お疲れさま」の言葉

あんなにヘトヘトで、情けない気持ちだったのに。
「お疲れさま」の一言で、心はこんなにも軽くなるんだ――。

怒涛の一日をなんとか生き抜いた私に、優しく声をかけてくれたあの運転手さん。
あのとき、明日も頑張ろうと思えたのは彼のおかげです。

自宅近くの停留所に到着したバスを降り、私は深くお辞儀をしました。
窓越しに見えた運転手さんの穏やかな笑顔は、今も私を励ましてくれています。

【体験者:30代女性・会社員、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.