若い頃に姑から辛く当たられた経験から、筆者の知人A子は自分の嫁に対して優しく接することを何よりも大切にしてきたそうです。
でも、そんな思いやりが思わぬ誤解を生んでしまったようで–––。
A子が話してくれました。
画像: <優しい姑のはずが>嫁に「何もしなくていい」と伝えたのに → 息子の言葉で気づいた『思わぬすれ違い』

心に誓った決意

私は若い頃、姑との関係に悩まされた経験があります。何をしても嫌味を言われ、気を使って動けば「余計なことはしないで」と叱られる。そんな日々が続き、「私もいつか姑になるけれど、絶対にお嫁さんを困らせない」と心に誓ったのです。

だからこそ息子が結婚してからも、お嫁さんには「何もしなくていいのよ」と声をかけ続けました。お互い笑顔で接していたし、これが理想の関係だと思っていたのです。

理想と現実のズレ

ところが、時が経つにつれ、私の心の中にモヤモヤが積もってきました。

お嫁さんは本当に何もしない。もちろん私がそう言ったのだから当然なのですが、どこか寂しいような気持ちもありました。

そんなある日、息子からこんな言葉を聞かされました。

「妻がね、母さんの本当の気持ちがわからないって言ってたよ」

まさかお嫁さんも悩んでいたとは。私に遠慮して、勝手に動いてはいけないと考えていたのです。お互いが気を遣いすぎて、知らないうちに壁を作っていた。そのことにようやく気づいた瞬間でした。

素直な一歩

それから私は、少しずつ素直になることにしました。

ある日、一緒に夕飯を作っていたとき、思い切って

「もしよかったら、このサラダの盛りつけお願いしてもいい?」

と頼んでみたのです。するとお嫁さんはパッと顔を明るくして

「もちろんです!」

と快く引き受けてくれました。

「助かるわ、ありがとう」

と伝えると、お嫁さんは少し照れたように笑っていました。それがなんだかうれしくて、私も自然に笑顔になっていました。肩に入っていた力がふっと抜けるような気がして、楽しくなっていきました。

言葉で築く本当の関係

後日、息子から「妻が『お義母さんと一緒に台所に立つのが楽しい』って言ってたよ」と聞かされ、胸がいっぱいになりました。

「嫌な思いをさせない」という気持ちはもちろん大切だけれど、それだけでは本当の気持ちは伝わらない。きちんと言葉にして、素直に伝え合うことで、こんなにも関係は変わるのだと実感しました。

これからも、無理に距離を取るのではなく、お互いに心を開いて向き合っていきたいと思っています。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.