職業に貴賎なしという言葉もあるように、職業によって人を格付けするのは社会の平等性を保つのにあってはならない行為です。しかし未だに職業で人の価値を測る人がいるのも確かです。今回は親に言われたある言葉から、職業で人の価値は決まらないと感じた経験のある筆者の知人、Oさんのお話です。
画像: 100円ショップで働きたい私に「ダメよ! だって──」高学歴な母が放った【トンデモ発言】に絶句

高学歴な両親

当時Oさんは大学生。しかもかなり偏差値の高い有名大学に通っていました。

Oさんの両親は高学歴で、両親共に大企業でバリバリ働いているという、いわゆるハイスペックな家族。

そのため家庭は裕福なほうでしたが、Oさんは「自分で働いたお金で夏休みに友達と旅行に行く」と決めてアルバイトを探していました。

「どんなバイトがいいかな……」
初めてのアルバイトなのでどのような仕事を選んだら良いかわからず、Oさんはアルバイト情報誌を見ながら悩んでいました。

100円均一で

まだアルバイトを決めかねて悩んでいたある日、Oさんは母親と100円均一の店に買い物に出かけました。
「あ、Oちゃん!」
店内をうろうろしていると、たまたまその店でアルバイトをしている高校の時の同級生にばったり。
「ここでバイトしてたんだ? 私もバイト探してるんだよね」
「そうなの? まだ見つかってないならこの店においでよ。忙しいけど時給いいよ」
同級生の言葉に心を動かされたOさんは、会計で並んでいる際に「ここで働こうかな」と母親に言いました。

「えー、ダメよ、100均なんて。安いものを売る店で働くと安い人間だと思われちゃうわよ!」
母親の声は大きく、店内に響き渡りました。

ちょうど近くでレジを打っていた同級生にも聞こえており、同級生は複雑な表情でOさんを見ています。Oさんはいたたまれない気持ちですぐその店を出ました。

「お母さん、私、働いてるお店で人の価値を測っちゃいけないと思う」
しばらく考えてから、Oさんは母親にそう言いました。
すると、母親はOさんの真剣な眼差しと、その言葉の重みに、ハッとさせられたようでした。
「そうね、お母さんが悪かったわ」
母親はそう言って、Oさんがどの店でアルバイトをしても良いと言ってくれました。

Oさんは後日、同級生に母親の発言を謝りました。
結局その100円均一で働くことにはなりませんでしたが、Oさんは他の小売店でアルバイトを始め、もう母親が差別的な発言をすることはなかったそうです。

働いている店がどんな価格のものを売っているかで、人の価値は測れませんよね。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。

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