子育て中、「あれもこれもしてあげなきゃ」とつい手を出しすぎていませんか? 筆者の知人A子もその1人でした。
A子は、しつけに悩み、親子バトルを繰り返した結果、最後に行き着いたのは手放す勇気だったそう。A子が娘とのエピソードを語ってくれました。
画像: 「自分でやったほうが早い」が招いた悲劇。片付けられない娘に「あきらめよう」→ 数年後、『予想外の結末』が

「全部やってあげたほうが早い」が落とし穴だった

娘が幼いころ、服を着せるのも、部屋を片付けるのも、私が全部やっていました。理由はシンプルで、自分でやったほうが早くて楽だったから。でもそれは「娘のため」ではなく自分の効率を優先した結果でした。
「これくらい親がしてあげるもの」と思い込んでいたのです。けれど、小学生にあがったとき、そのツケが回ってきました。自分のことが何一つできない娘を見て、私は本気で焦りました。

しつけスイッチが入って親子バトルが勃発

「このままではダメだ」と思い、急に「しつけモード」に切り替えました。靴を揃えなさい。使ったら戻しなさい……毎日がその繰り返しでした。
最初は素直に聞いていた娘も、高学年になるころには生返事。ため息、無視。注意すればするほど、親子の距離が遠のいていくようでした。
気づけば娘の部屋は、足の踏み場もないゴミ屋敷状態。教科書、ぬいぐるみ、脱ぎっぱなしの靴下が一体化したカオスな空間が広がっていました。

親が変わることで、何かがふっと軽くなった

それでも学校ではきちんとしていて、成績も良好。外では「しっかり者」と評判の娘。家では安心して気を抜いていたのでしょう。私たちは片付けのこと以外ではよく話し、よく笑いました。
だから私は、あるときふと決めたのです。「片付けに関してだけは、もうあきらめよう」と。すると不思議と、親子関係も落ち着いていったのです。

大人になった娘の変化に驚かされた日

そんな娘が結婚して数年後、子どもが生まれたとの連絡があり、初めて新居を訪れました。目に飛び込んできたのは、モデルルームのように整った部屋。ピカピカの床にスッキリした収納。あのカオスな部屋の主が、です。

「きれいにしてるのね」と声をかけると、娘は笑って言いました。「子どもには、きれいな部屋で育ってほしいから」と。

さらに帰省したときには、娘が玄関で「ホコリが気になる」と言い、私に孫を預けて掃除機をかけ始めたではありませんか。あのゴミの山の主が、今では掃除機を操る母になっているなんて──。思わず笑ってしまいました。

結局、人は「自分がその気にならなければ動かない」ということ。口で言うより、自分で気づくことのほうが、ずっと強い力になると私はようやく実感したのです。

あのとき、頭ごなしに「片付けなさい」と言い続けるのをやめて、正解だったのかもしれません。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

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