採用面接を受ける際、志望動機や経歴、取得した資格など様々な質問をされますよね。合格したい一心で質問に嘘の返答をすると、入社した後に大変なことになるケースもあります。今回は採用面接でとんでもない嘘をついていた新入社員に迷惑をかけられたことのある筆者の知人、Cさんのお話です。
画像: <面接で確認したのに>新人「本当は車持ってない。送迎してほしい」出勤初日、タクシーでやってきて!?

久しぶりの新入社員

Cさんは当時、小さな印刷会社で事務の仕事をしていました。

その会社は人口の少ない田舎町にあり、最寄りの公共交通機関から距離があるため、会社からは全社員にマイカー通勤を推奨されています。

移動手段が限られている田舎ではマイカー移動が当たり前のようになっており、もちろん会社からはガソリン代も支給されるので、Cさんは特に疑問もなくマイカーで毎日通勤していました。

そんなある日、Cさんは上司から久しぶりに新入社員が入って来ることを聞かされたのでした。

「どんな人ですか?」
Cさんが尋ねると、上司は嬉しそうに答えました。
「今時の若い子だけど、面接の感じは良かったよ!」
上司のお墨付きというのもあり、Cさんはその新入社員を楽しみにしていました。

初出勤の日に……

そして新入社員初出勤の日。
「あれ、タクシー停まってる……誰かな」
会社の前に一台のタクシーが停まり、来客の予定はなかったはずだとCさんと上司は首をひねっていました。

「え、あの子!?」
タクシーの扉が開き、悠々と降りてきたのは若い女性でした。
「今日から入る子だよ! どうしてタクシーなんだ?」
「車が故障しちゃったんですかね」
新入社員の女性は会社に入って上司の顔を見ると、「よろしくお願いします」という挨拶もなしにタクシーの領収書を差し出しました。
「タクシー代は交通費で申請していいですよね」
ケロッとした顔でそう言うので、上司がマイカー通勤でお願いしたいと言っていたはずだと答えました。

「えー、実は私車ないんですよね。困るなぁ。タクシーがダメなら誰かに送迎して欲しいんですけど」
新入社員は悪びれずにそう答えました。

面接時に車のことを確認した時は、車を持っていないなんて言っていなかったと上司は言うものの、マイカー通勤ができないことを理由に解雇することもできません。

社内のみんなで相談しあった結果、結局比較的その新入社員の家の近隣に住むCさんが送迎をすることになりました。
「いつもより早く出なきゃダメじゃん、きついな」
そう思ったものの、新入社員をタクシーで来させるわけにもいかず、いつもより30分も早く家を出て新入社員を迎えに行き、帰りは家まで送ることに。

しかしそんなCさんの気持ちも考えず、新入社員は3ヶ月も経たないうちに「親しくない人の運転は車酔いする」と言って辞めていったそうです。

採用面接でマイカー通勤ができないことを伝えるべきでしたね。受かりたいからと言って嘘をつくと、人に迷惑をかけてしまう可能性があります。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。

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