今回は、知人のB子さんに聞いた、娘との何気ない会話を通じて、自分自身の人生を見つめ直した出来事をご紹介します。親になってからすっかり忘れていた「自分の夢」と、親として、ひとりの人間としてのあり方に気づいた瞬間のお話です。
画像: 「ママって、夢なかったの?」娘の一言がグサッ、、、“ママ”の私が『失ったもの』を取り戻すまで

「ママって、何になりたかったの?」

ある日の夜、娘のH子と一緒に寝る前の絵本を読んでいたときのことです。絵本の中で女の子が「将来の夢」を語る場面を読んでいたとき、H子がぽつりと言いました。
「ママって、小さいとき何になりたかったの?」
私は一瞬、答えに詰まりました。
昔のことを思い出そうとしても、出てくるのは洗濯物やお弁当の記憶ばかり。
ふと「私、夢なんて持ってたっけ?」と自問してしまいました。

思い出せない“私自身”

結局、「うーん、たしか絵本作家になりたかった気がする」と答えましたが、自分でもどこか曖昧で、その場しのぎのような返事でした。
娘は「ふーん」と笑って寝てしまいましたが、私はその後も眠れず、ベッドの中で考え続けました。
子どもが生まれてからというもの、私は“ママ”としての自分ばかりを優先してきました。
自分のことは後回しにして、夢なんてもう関係ないと思っていました。

書きかけのノートに触れて

翌日、押し入れの奥から古い段ボールを開けてみると、大学時代に使っていたノートが出てきました。そこには、拙いながらも書きかけの童話や物語のアイデアが詰まっていて、懐かしさで胸がいっぱいになりました。
ああ、そうだった。私は“誰かの心を動かす物語”を書きたかったんだ。
その夜、私は久しぶりに机に向かって、ノートにペンを走らせてみました。
たった数行でも、心がすごく満たされました。

親である前に、ひとりの人間

私は今でも“ママ”としての日々に忙殺されることもあります。
でもあの日から、自分の時間をほんの少しだけ、大切にするようになりました。
H子が大きくなったとき、「ママって夢なかったの?」と聞かれても、「あったよ。今も持ってるよ」と胸を張って言えるように。
親であることと、自分であること。両方を大切にしていける人でありたいと思います。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。

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