子どもを持つ親なら、誰もが1度は経験するであろう親子ゲンカ。時には激しい口論になってしまうこともありますよね。今回は、子育て中の友人が「子どもとの向き合い方」を見つめ直すきっかけになったエピソードをご紹介します。
画像: 「どうして門限破るの!!」中2息子とのバトルにイライラが限界!→ 終止符を打った『言葉』とは

守られない約束

中学2年生の息子が、突然門限を守らなくなったのは今年の初め頃のことでした。

最初は10分程度の遅れが、やがて1時間、2時間とエスカレート。
「友達も門限なんて気にしてない」「早く帰るとかダサいし」と言い放つ息子に、何を言っても響きません。

スマホを取り上げてみたり、強く叱ってみたりもしましたが、効果はいまひとつ。

どう伝えれば、この子に届くんだろう……。
そんな思いが、毎日私の頭をぐるぐると駆け巡っていました。

届かない声

今思えば、あの頃の私は「門限を守らせること」ばかりに気を取られていました。

「ちゃんとしなさい!」
「ルールは守らなきゃダメでしょ!」
と、正論を繰り返すだけで、肝心の息子の気持ちには耳を傾けていなかったのです。

ある日、「何時だと思ってるの!」と声を荒げる私に、息子は目をそらしたまま「べつに」とつぶやき、リビングを素通りしました。

その背中を見ながら、私はようやく気づき始めました。
信じている“つもり”になっていただけで、実は心配から息子をコントロールしようとしていたんだと。

「まだ目を離せない」という私の思いが、息子に「信用されていない」と伝わっていたのかもしれません。

一言が変えた関係

ある晩、またしても息子は門限を大幅に過ぎてから帰宅しました。

いつもなら叱るところですが、その時なぜか口をついて出たのはまったく違う言葉。
私自身、繰り返される言い合いに疲れていたのだと思います。

「もう門限はなしでいいよ。あなたが悪いことや、人として間違ったことはしないって信じてるから。」

息子は一瞬驚いたような顔をして、何も言わず自室へ戻っていきました。

その背中を見送りながら、私は思いました。
この子は、ただ“信じてほしかった”のかもしれないと。

私が「信じている」と口にした瞬間、息子の中で何かが動いたような気がしたのです。

信じるということ

それ以来、息子は以前のように門限を大きく破ることはなくなりました。
帰りが遅くなる日は、ちゃんとLINEで連絡をくれるようにもなったのです。

ピリピリとした空気も、いつのまにか穏やかになっていました。

息子の反抗は、親を突き放したかったのではなく、本当は「信じてほしい」という静かな訴えだったのかもしれません。

子どもを信じることには、勇気がいります。
でもその勇気が、親子の信頼関係を育み、子どもを1歩成長させる力にもなるのだと実感しました。

私たち親子の門限バトルは、そんな気づきとともに、静かに幕を下ろしたのでした。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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