つい「してあげたくなる」義母心。でも、その思いやりが、知らず知らずのうちにお嫁さんの自信を奪っていたとしたら? 筆者の知人・かずこさん(仮名)が経験した、ある“差し入れ”をきっかけに変わった嫁姑関係の話です。
画像: 嫁「お義母さん、何を入れたんですか?」私「えっ」差し入れた“煮物”が、嫁の心を追い詰めていた理由

月イチの差し入れは、仲の良さの証

かずこさんは、月に一度、煮物をタッパーに詰めて息子夫婦の家へ届けるのが習慣になっていました。だしをしっかり効かせた、我が家の味。息子が子どもの頃からよく食べていた定番の煮物です。

お嫁さんも「美味しいです」と笑顔で受け取ってくれる。その姿を見るのがうれしくて、かずこさんは毎月、せっせと作り続けていました。
誰かに食べてもらえるって、やっぱりうれしい。そう思える時間だったそうです。

嫁姑の関係もうまくいっている。そう信じていたかずこさんにとって、煮物は小さな絆の証のようなものでした。

ある日かかってきた一本の電話

ある日、かずこさんのもとに息子から一本の電話が入りました。
「もう、煮物の差し入れはやめてほしい」「おふくろの煮物って、味付けに何を入れてるの?」
突然の言葉に、かずこさんは戸惑いました。

理由を聞くと、思ってもみなかった答えが返ってきたのです。
「嫁ちゃんさあ……最近ずっと落ち込んでて。料理に自信なくして、夜も眠れなくなってるんだ」

毎月笑顔で「美味しいです」って受け取ってくれていた。それだけに、かずこさんは信じられませんでした。
息子は続けました。
「家族みんなで“すごく美味しい”って喜んでるんだけどさ、ほら、嫁ちゃん頑張り屋だからさ。おふくろの味に勝てないって、思い詰めちゃってたみたい。プレッシャーだったんだよ」

「いったい何を入れたら、お義母さんの味になるの」って。

まさか、良かれと思って続けてきたことが、そんなふうに受け取られていたなんて。
かずこさんは、スマホを持ったまま、しばらく言葉が出ませんでした。

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