子どもの頑張る姿は、親にとって何よりの喜び。けれどもし、わが子が突然、心の限界を迎えてしまったら……。
今回は、筆者の知人A子が体験した、息子との実話をご紹介します。親として、どう寄り添うべきかを考えさせられる出来事です。
画像: 帰省したときは普通だったのに、、、大学生息子から「ごめん」泣き声混じりのSOS電話。一体、何が?

幼いころから全力で取り組んできた息子

A子の息子は小さなころから、何事にも一生懸命な子でした。自分で目標を立て、とことん頑張るタイプ。
大学は自ら志望校を選び、高い壁に挑戦しました。
「無理しなくていいんだよ」と声をかけると、「やるだけやってみたい」と笑って答える息子。
周囲の心配をよそに、地道に努力を重ね、合格を勝ち取りました。

一人暮らしと多忙な大学生活

「ちゃんと食べてる?」「うん、母さん。いつも食料ありがとう!」
そんな何気ないメールのやり取りが、A子にとっては心の支えでした。

地元を離れ、慣れない土地での一人暮らし。A子は定期的に食品や生活用品を送り、息子からは感謝の電話が届いていました。

多忙な大学生活の中でも、持ち前のガッツで乗り越え、無事2年生へ進級。
「元気そうでよかった」A子がようやく少し安心しかけた矢先のことでした。

突然のSOSに揺れる親心

GWに帰省したとき、息子に変わった様子はまったくありませんでした。
家ではリラックスし、地元の友だちとも楽しそうに過ごしていたため、A子も特に心配していませんでした。

ところが一人暮らしの家に戻ってから数日後、一本の電話が。
「何も手につかないし、食事も喉を通らない……。せっかく送ってくれたのに無駄にしてしまって、ごめん」

泣き声交じりの息子の声に、A子の胸はざわつきました。

「これは、すぐに行かないと!」

夫と共に駆けつけると、カーテンを閉め切った暗い部屋で、布団にくるまったまま動けない息子の姿がありました。

几帳面だった部屋は荒れ、かつての元気な姿は見る影もありません。

頑張りすぎた心への寄り添い

A子は迷わず息子を連れて帰り、「まずは休もう」と声をかけました。

その後、専門家や大学にも相談し、息子は1年間の休学を決意。

焦る気持ちと向き合いながら、家族に支えられて、少しずつ元気を取り戻していきました。

その過程で見えてきたのは、 息子が慣れない環境、少ない友人関係の中、厳しい大学のカリキュラムとアルバイトの両立に限界を超えて頑張りすぎていたという事実でした。

専門家によると何事にも手を抜かないタイプの子ほど、ある日突然、心が折れてしまうことがあるのだそうです。

「母さん、また大学行ってみようかな」
そう呟いた息子の小さな一歩に、A子の目には涙があふれました。

今はただ、親としてできる限り寄り添い、そっと見守っていこうと心に決めています。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

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