子育てをしていると、つい自分の理想を子どもに押し付けてしまうことはありませんか? 筆者の友人も、娘の将来を思い描くあまり、大切なことを忘れてしまっていた時期があるそうです。今回はその頃のエピソードをご紹介します。
画像: 娘の夢を応援? いいえ、ただの親のエゴでした──【娘の高校受験】で私が学んだ『大切なこと』

娘の才能

私の娘は成績は普通でしたが、幼い頃から英会話を習っていたこともあり、日常会話レベルの英語はスラスラ。語学には自信を持っていました。

海外ドラマや洋楽も好きで、「大人になったら海外に住んでみたい」と口にすることも。
私はその才能を伸ばせば、将来は国際的に活躍できると信じて疑いませんでした。

絶対インターナショナルスクール!

高校受験を控え、私は英語教育に力を入れているインターナショナルスクールに娘を入学させたいと思い、強く勧めました。

娘は私の熱意に押され気味に、「そういう学校も、いいかもね……」と控えめに返しました。
その一言を、私は勝手に「やる気に満ちた同意」と受け取ってしまったのです。

夫との対立

しかし、夫は「普通の高校に行って、大学で専門的に学べばいいだろう」と反対。
夫の言葉は現実的でしたが、私は聞く耳を持ちませんでした。「娘の可能性を潰す気!?」と、娘の才能を理解できない夫に苛立ち、夫婦喧嘩はエスカレートするばかり。

夫婦で出向いた三者面談でもインターナショナルスクールの良さを担任に熱弁し、夫の顔を潰してしまいました。その間、娘は何も言わず、俯いていました。

娘の本当の気持ちを知り……

帰宅後、ついに夫が爆発。
「いい加減にしろ! 過剰な期待をかけて娘をプレッシャーで押し潰してることが分からないか?」と言い残してリビングを出て行った夫を、私は「何も分かってない」と見送りました。

しばらくして、娘が不安そうに声をかけてきました。
「ママ、パパ怒ってたね……あのね、私、本当は」娘は涙をこらえながら、小さな声で続けました。

「普通の高校に行きたい。みんなと、友達と同じ高校に行きたいの」
その言葉に、私はハッとさせられました。

娘はずっと、私に言い出せずにいたのです。娘の将来を夢見て喜ぶ私の姿を見て、本当の気持ちを言えなかったといいます。
自分のエゴで娘を苦しめていた事実にようやく気付いた私は、心の底から後悔しました。

翌日、夫に娘の気持ちを伝え、自分の過ちを謝罪しました。

結局娘の進路は地元の公立高校に決定。
娘の進路は、娘自身が選んだ道。私はようやくそれを心から応援できる親になれた気がします。
娘の受験は、私にとって「親であること」の意味を考え直す大切なきっかけになりました。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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