『親の心子知らず』と言いますが、親の気持ちをわかっているようでわかっていないことは実際に多々あるのでしょう。今回は、筆者の知人が親の心配を痛感したと話してくれたエピソードをご紹介します。
画像: 昔は母の「連絡して」がうっとうしかったけど──球場で姿を消した母。心配して分かった『親の気持ち』

野球ファンの母

母は大の野球好き。
チケットが取れるたびに友人たちと球場へ足を運んでいます。

我が家から球場まではバスや車で行きやすく、徒歩でも30分程度の好立地です。
そのため母が観戦に行く際は、一緒に行く友人に迎えに来てもらったり、デイゲームのときには歩いて行ったりしています。

ナイター観戦

この日、母は「今日はナイターのチケットが取れたの!」と嬉しそうに話してくれました。

ちょうど予定もなく家にいたので、行きは私が車で送ることに。
帰りについては特に決めていませんでした。

私は家で野球の中継を見ていたため、試合が終わった頃に「どうやって帰ってくるんだろう? せっかくだし迎えに行ってあげよう!」と思いつき、母に電話をかけることに。

母が音信不通に!

しかし何度かけても、母は電話に出ません。

今日一緒に行っている友人たちは、家の方向が異なり、それぞれ公共交通機関で来ているはず。
昼間は明るい球場から自宅までの道も、夜になると街灯が少なく、人通りも多くありません。
そのため、母が徒歩で帰っているとも考えづらいです。

もしかすると、すでにバスの中で電話に出られないのかも! と思ってメッセージを送ってみましたが、既読は付きません。

この頃になって私は「母の身に何かあったのかもしれない」と心配し始めました。

車で捜索

それから30分経っても連絡はなく、車で大通りを往復しながら母を探すことにしました。

球場までの道を車で行ったり来たりしますが、それでも母は見つかりません。

「どうしよう」と思ったそのとき、母から電話が鳴りました!
母はのんきな口調で「何回も電話くれてたでしょ? どうしたの~?」と……。

心配していたことを伝えると「野球が勝って、気分がよかったから、野球ファンのお友達と電話しながら、のんびり歩いて帰ってきたのよ~」とのこと。

親の心子知らず

私が夜遊びを覚えた学生時代、母からはいつも「お願いだから連絡はつくようにして」と言われていましたが、当時は鬱陶しく感じていました。

しかし今回の件で初めて「母はいつもこんな気持ちで私のことを心配していたのかもしれない」と思い、ようやく母の気持ちが理解できた気がします。

【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。

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