筆者の父の話です。
定年後も働いていた父が退職を決意した際、なぜか『私たちの言葉』として社長に伝えた内容に、家族全員が驚いてしまいました。
画像: 父よ、記憶を捏造しましたね!? 退職を決意した父が、社長に放った『驚きの発言』に、家族一同ポカン

定年後も働き続けた父

父は個人事業主の会社で、定年後も嘱託社員として働いていました。

父には持病があり、年に一度は入院するほどの状態でしたが、それでも仕事が好きだったのか、毎日きちんと出勤していました。

ある日突然の「辞めようと思う」

しかしある時、退院から1か月ほどたって
「ちょっと話がある」
と父から呼び出され、家族全員がそろう場で
「もう仕事を辞めようと思う」
と告げられました。

定年を過ぎていたこともあり、体調も万全ではなかったので、家族みんな
「お疲れ様」
とねぎらいの言葉をかけました。
父もどこかホッとした様子でうなずいていたのが印象的でした。

「子供たちが言ってくれたので」!?

数日後
「社長に話をするから一緒に来てくれ」
と父に頼まれ、私は会社に同行することに。
入退院のたびに顔を出していたので、社長さんとも顔見知りでした。
「ついていくだけ」と軽く考えていた私でしたが、社長室で驚きの発言が飛び出します。

「子供たちが『しんどいならもう辞めたら』と言ってくれたので、退職しようと思います」
……え? いやいや、私たち、そんなこと言ってないけど!? と内心フリーズ。

でも、すっかり言い切った父の顔には安堵の色が浮かんでおり、その場で否定することもできず、私は黙ってうなずくしかありませんでした。
静かな社長室の空気も、その言葉を受け入れて流してしまった理由のひとつです。

モヤっとしたけれど

社長に丁寧にお礼を伝え、会社を後にして帰宅。
家族に話すと
「えっ、そんなこと言ったっけ?」
と全員驚いていました。

弟と顔を見合わせ
「完全に、私たちが退職を勧めたことにされてたね」
と苦笑い。

誰も怒ってはいなかったものの
「あれはお父さんの都合のいい脚色だよね」
と言い合っていました。

辞めたかったのは父自身。
でも、それを『家族の言葉』 にして話すとは……。
少しモヤっとしたけれど、これも父なりの矜持だったのかもしれません。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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