筆者の話です。
まだスマートフォンどころか、携帯電話すら一般的でなかった頃のこと。
学生時代、部活の部長だった私は、親御さんからの評判が良かったようで──、卒業した後も何かと頼られることが多かったのですが……?
画像: 友人の秘密旅行、ウソの口実に使われた私。GWに家の電話が鳴り──親の『まさかの一言』に、心臓バクバク

旅行の口実に使われていた

卒業後進学している友人が多い中、私は就職の道を選びました。そのため、受け答えがしっかりしていると見られていたのか、なぜか親御さんから好かれるタイプだったようです。
友人Sとは元々仲が良く、本の貸し借りや一緒に食事をしたりもしていました。お互いの家に泊まりに行ったりするうちに、自然とSの家族とも距離が縮まっていきました。

当時、Sは遠距離恋愛中で、彼の帰省にあわせて旅行へ出かけることがありました。
ただ、親世代には「結婚前に恋人と旅行する」 ことは受け入れられにくいため「私と一緒に旅行に行く」 と言っていたようです。
私は、そうした際に口実として名前を使われていました。

GWの夜、突然の電話

私は交通機関に勤務していたため、GWは当然のように繁忙期。
ある日、勤務を終えて帰宅すると、ちょうど玄関近くの家の電話が鳴り響きました。

家族の中で一番近くにいた私が受話器を取ると
「Kikoさんですよね?」
と女性の声。
どこかで聞いたことのある声だと感じていたところ
「Sと旅行中じゃないの?」
と問われ、思わず固まりました。
電話の相手は、Sの母親だったのです。

「……あ、私は急に家の用事ができてやめたんです」
と、なんとか言葉を絞り出しました。
しかし続けて
「Sと連絡が取りたいので、宿の電話番号を教えてもらえますか?」
と言われ、頭の中が真っ白に。

しまった、今回はどこに行くのか聞いていなかったのです。

慌てて宿を探すはめに

正直に話すわけにもいかず
「少し調べて私から連絡してみます」
と答え、電話を切りました。

当時はインターネットもスマートフォンもない時代。
Sの母親が口にした宿の名前を手がかりに、電話帳などを使って必死に連絡先を調べ、片っ端から電話をかけていきました。

「本当に見つかるだろうか」
と不安になりながらも、何とかS本人とつながり、母親から連絡があったことを伝えることができたのは1時間後。

いまでもGWに思い出す

それ以降、あれほど信頼されていたにもかかわらず、Sの実家にはなんとなく行きづらくなり、電話をかけるのもためらわれるようになってしまいました。

当時は本当に冷や汗ものでしたが、いま振り返ると笑い話です。
スマートフォンがあれば、本人にすぐ連絡を取れたでしょう。
GWになると、あのとき鳴った電話と、思いがけず気まずくなってしまったあの出来事を、ふと思い出します。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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