子育てに奮闘するママたちの中には、子どものためならと自分を後回しにしてしまう人も多いのではないでしょうか。筆者の知人A子もついつい「私は大丈夫」と頑張ってしまうタイプでした。しかし子どもたちの純粋な想いに触れて考えを改めたそうです。一体どんな出来事だったのでしょうか。
画像: 「ママの誕生日には花丸つけないの?」カレンダーを見た息子のひと言が胸に刺さった話

幼少期の「祝ってもらえなかった」記憶

A子は自営業の家庭に育ち、両親はいつも仕事に追われていました。幼いころの思い出は祖父母との時間がほとんどで、誕生日も特別なことはありませんでした。

友だちが誕生日を祝ってもらった話を聞くたびに、胸がきゅっと締めつけられるような感覚がありました。

「私の誕生日って、特別じゃないのかな」──そんな思いを抱えながら、大人になっていきました。

「子どもには楽しい思い出を」という決意

結婚し、2人の子どもを育てるようになったA子は、「自分と同じ思いはさせたくない」と強く思うようになりました。

子どもたちの誕生日には、カレンダーに大きな花丸を描き、家族みんなでその日を楽しみにします。

寂しさを知っているからこそ、「自分を大切にする気持ち」を持って育ってほしい──。そんな思いを込めて、日々の声かけや関わりを大事にしてきました。

けれど、自分の誕生日に花丸を描くことは、これまで1度もありませんでした。

子どもからの意外な質問

ある日、長男がカレンダーを見ながら、不思議そうに問いかけてきました。

「僕の誕生日には花丸があるのに、ママの誕生日にはないの?」

A子は「みんなの誕生日が大事だからね」と笑って答えましたが、長男は真剣な表情でこう言いました。

「ママの誕生日も大事だよ。僕はどっちも大事」

その言葉にはっとしました。子どもたちには「自分を大切にしよう」と伝えているのに、自分自身はそれができていなかったことに気づいたのです。

小さいころから大切にされる経験が少なかったA子にとって、「自分を後回しにする」ことが、いつの間にか当たり前になっていたのかもしれません。

子どもから教わった「自分を大切にする」こと

「じゃあ、僕がママの誕生日に花丸をつけるね!」

そう言って、嬉しそうにカレンダーに大きな花丸を描く長男。

誕生日当日には、子どもたちが手作りのプレゼントを用意し、「ママ、おめでとう!」と笑顔で祝ってくれました。

胸がいっぱいになったA子は思いました。自分を大切にする姿を見せることも、きっと子どもたちの心に残っていくのかもしれないと。

この日から、A子の誕生日も、家族にとって特別な日となったのです。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

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