大人になると、「常識」とされるマナーに敏感になりますよね。特に冠婚葬祭の場では、「非常識なふるまい」と見なされることを避けるため、細心の注意を払うもの。でも、そのマナー、本当に大事なポイントを押さえていますか? 今回は筆者の知人A子から聞いた、葬儀であった出来事をご紹介します。
画像: 葬儀で「そのワンピは非常識でしょ?!」と思ったけど──叔母の一言に『自分が恥ずかしくなった理由』

葬儀での「非常識」な服装?

親戚の葬儀に参列したときのこと。喪服姿の親族たちに囲まれる中、1人光沢のある黒いワンピースを着た若い女性がいました。その瞬間、親族の間で小さなざわめきが起こります。

「あの服、ちょっと派手じゃない?」「社会人なら、最低限のマナーは知っていて当然でしょう?」

そんな声を聞いて、私も同じように感じました。冠婚葬祭のマナーは、場の空気を乱さないためのもの。だからこそ、ふさわしい服装をするのは当然だと思ったのです。

ルールを守ること=正しいこと?

「マナーを守らないなんて非常識だよね」

周りの親戚に同調した私。でも、そのときそばにいた叔母がこう言ったのです。

「でも、彼女にとって初めての葬儀かもしれないわよ。突然の訃報で、慌てて駆けつけたのかもしれないし」

その言葉に、私はハッとしました。たしかに、自分が初めて葬儀に参列したときは、右も左もわからず、母に助けてもらいながら準備をした記憶があります。もしかすると、彼女も戸惑いながらこの場に来たのかもしれません。

大切なのは服装? それとも……

ふと、その若い女性の表情を見ました。すこし緊張した面持ちで手を合わせ、静かに故人を偲んでいます。その姿を見たとき、私は思いました。

「大事なのは、服装じゃない。故人を偲ぶ気持ちなんだ」

もちろん、マナーを知ることは大切です。でも、それ以上に大事なのは、場にふさわしい心を持つこと。そう気づいたとき、私は少し恥ずかしくなりました。「正しいマナー」にばかり目を向けて、相手の気持ちを考えていなかったのです。

マナーの本当の意味とは?

マナーは相手を不快にさせないためのもの。でも、それが「ルールを守ること」に偏ってしまうと、本来の目的を失ってしまいます。

叔母の言葉を思い出しながら、私はしみじみ思いました。本当に大切なのは、故人を偲ぶ気持ちや、周囲の人を思いやる心。形式だけで判断せず、その背景にある想いを大切にしたいですね。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.