これは、以前小学校の先生だった筆者の友人から聞いたお話です。「特別な子」だと言われて育った生徒の問題行動に、頭を悩ませる学校の先生たち。しかしその解決の糸口は、意外なところで見つかったようで……?
画像: 「うちの子は特別なの!」暴れる子を“ギフテッド”と呼び、配慮ばかり求める母親。しかし子供にある変化が

「うちの子は特別なんだから周りが配慮して」と言って譲らない、問題児の母親

これは私が何年も前に、私立の小学校教諭として働いていた時のことです。受け持っている生徒の中に、Aくんという少し困った男の子がいました。

Aくんは周りの生徒よりも大柄で、いつも他の子が使っている文房具を奪ったり、気に入らないことがあると物を投げたり殴ったりするのです。

もちろん保護者には逐一報告していましたが、Aくんママは「うちの子は『ギフテッド』なんです。特別なんだから周りが配慮してください」と言って譲らないのです。

『ギフテッド』といえば、一般的に「生まれつき人並外れた才能を持っている人」のことを指します。正直、Aくんが本当にギフテッドなのかはよくわかりませんでしたが、何であろうと、他の子供たちに危害を加えることを放ってはおけません。

しかし、いくら呼び出してもAくんママはAくんを叱る素振りもないし、改善も見込めないので、教師たちは頭を抱えていました。そんなAくんに、ある“転機”が訪れるまでは。

問題児に絵本を取られた子供「どうして人の物を取るの?」

ある日、一人で絵本を読んでいたBくんという男の子から、Aくんが絵本を取り上げるところを目撃した私。

「注意しなきゃ!」と私が声をかける前に、BくんがAくんに「どうして人の物を取るの?」と尋ねました。

「俺は特別な子供だから何してもいいんだよ! ママがそう言ってた!」と答えるAくんに対し、Bくんは「Aくんは友達を作るよりも、自分が特別なことが大事なんだね」とポツリ。

意味がわからず首をかしげるAくんに、Bくんはさらに「他の人が嫌がることばかりしていたら、君には一生友達できないよ」と言い放ったのです。

Aくんは泣きそうな顔をして、何も言わず走り去っていきました。そして驚くことに、その日からAくんが問題行動を起こす頻度が激減したのでした。

大人がいくら注意しても聞かなかったのに、時には子供同士の方が解決しやすいこともあるんだと実感した出来事でした。

とはいえ子供が健全に成長するためには、周りの大人たちの適切なサポートが必須であることは、言うまでもありません。

【体験者:40代・女性パート主婦、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Hinano.N
不動産・金融関係のキャリアから、同ジャンルにまつわるエピソードを取材し、執筆するコラムニストに転身。特に様々な背景を持ち、金融投資をする女性の取材を得意としており、またその分野の女性の美容意識にも関心を持ち、日々インタビューを重ね、記事を執筆中。

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