筆者の話です。子どもの頃、友達がペットを飼っているのがうらやましくて、何度も母にお願いしました。でも母の答えはいつも「ダメ」 で──
画像: 母がずっと「動物は飼えない」と言い続けた理由 →『たった一言』で母の愛を知った日

ペットを飼いたかった子ども時代

「なんで?」と聞いても 「ダメなものはダメ」としか言わない母。
親の言うことは絶対の家庭だったので、それ以上深く考えたことはありませんでした。
「動物が苦手なのかな」と思うことにし「うちはダメなんだ」とあきらめていました。

何気ない一言

それから20年近くが経ち、そんなことも忘れていたある日。
母の友人が犬を連れて遊びに来ました。

元気に走り回る子犬。
みんなで「かわいいね」と話しているうちに、ふと母に尋ねてみました。
「うちは動物を飼ったことがないね」
何気なく言った一言でした。

すると母は、静かに笑って
「あなたたちを育てるだけで精一杯だったのよ。動物の命まで預かる責任は負えなかったの」
と言ったのです。
その言葉に、私はハッとしました。

母の選択

子どもの頃、父は転職が多く、収入が安定しませんでした。
少し余裕ができたかと思えば、老朽化した家の建て替えや車の買い替えにと金策に追われている日々。
母も働いていましたが、家に帰れば当然のように家事をこなしており、落ち着いて座っている姿を見たことがありません。

思い返してみれば、小さい頃の洋服はいつも親戚のおさがりだったな。
おさがりをくれたお姉さんに会うと「その服、懐かしい」と言われるのを、ただただ不満に思っていたけれど。
当時はペットが欲しい、新しい服が欲しい、友達と同じものを持ちたいと思っていました。
でも、母はそんな願いよりも、もっと大事なことを優先していたのでした。

気づいた母の愛

子どもの頃は「どうしてダメなの?」としか思えなかったこと。
でも、母の言葉を聞いた今なら、わかります。

母は、私たちの生活を守るために、できる限りの選択をしていたのだと。
それが、子どもの私には見えなかっただけ。

今なら、母の選択が正しかったのだと、素直に思えるのです。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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