筆者の話です。
私は、日本酒が大好きで、毎年、各地の有名な地酒を早めに取り寄せし、ゆっくり楽しめるお正月を心待ちにしていました。
画像: 私のご褒美だったのに(泣)お酒の隠し場所がバレて、家族と分け合う羽目に。でも?【お正月の思い出】

お正月は特別な酒時間

私の家族は、母を除いて全員が日本酒好き。
特に父は酒豪で、旅行先のお土産といえば地酒が定番でした。

お正月は朝からお酒を楽しんでも誰にも怒られない特別な期間。
そんなお正月だからこそ、大好きな地酒を自分だけで楽しみたくて、私は毎年ひそかに特別なお酒を取り寄せていました。

楽しみは奪われる!? 父の敏感な嗅覚

しかし、そんな計画はいつも失敗に終わりました。
父はそういう企みには敏感で、私が部屋飲みを楽しむため頃合いを見計らいリビングを抜け出そうとすると、決まって
「酒持ってこいや。一緒に飲もう!」
と誘ってくるのです。

一度はとぼけてみるのですが、流石というべきか、隠し場所までバレており、結局一升瓶を差し出す羽目に。
今年こそはと、なるべく早めにわからないように持ち帰っても、やはり見つかってしまうお酒たち。
父の背中にはセンサーがついているのではないかと疑うほどでした。

家族の団らんと温かい思い出

容赦なく封を切った父は満面の笑みで飲み始め、自室にいた弟が呼び出され加わると、母は呆れ顔でおつまみを足してくれる。

「そのお酒高かったのに、そんな一気に飲まないで!」
「さっきのお酒の方がおいしかったな」
酔っぱらいながらも繰り広げられる家族団らん。
ペースの早い父と弟にほとんど飲まれてしまう毎年の光景。
いつもは言えないことも、お酒の力を借りて話したりできる貴重な時間。

当時は、奮発した地酒を父と弟に飲まれてしまうたび、私は(せっかく楽しみにしていたのに……) と、とても残念な気持ちになっていました。
ですが、お酒の味や香りを語り合いながら、家族で過ごしたお正月は、どれだけ貴重だったことでしょう。

十回忌に思う、家族との時間の大切さ

父が亡くなり、母も施設で生活する今、家族みんなでお正月を過ごすことはありません。
あの頃の残念な気持ちも、今では温かい思い出です。
大切なのはお酒そのものではなく、一緒に飲む相手がいることだと気付かされました。
これからは、家族との時間をもっと大切にしたいと思っています。

今年は父の十回忌。
久しぶりに父の好きだった地酒を取り寄せて献杯しようと思っています。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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