学校生活で浮上しがちな『いじめ』問題。あってはならないいじめですが、思い悩み、傷ついているのは本人だけではないのかもしれません。今回は学生時代にいじめを体験した筆者と母親とのエピソードをご紹介します。
画像: 学生時代【いじめ】を乗り越えた、私たち親子──大人になった娘の前で、母が『後悔の涙』を流した理由

学生時代のいじめ

私は中学生時代、いじめに遭っていました。幼いころからの親友にも裏切られ、精神的にきつい学生時代を送っていた私ですが、幸いにも家庭に逃げ場がありました。

私の逃げ場となり、一緒にいじめと闘ってくれたのは母です。

母は「やり返したらいじめをする奴らと同じレベルになってしまう。あなたはとっても賢い人だから、そんな人たちと同じレベルに下がる必要はないのよ」と、いつも話してくれて、グッと堪える私を励まし続けてくれました。

いま思い返してみても、母の存在がなければ私はいじめに耐えられていなかったと思います。

母親の行動

そんな私ですが、十数年後には結婚。

素敵な旦那さんと義両親に出会い、私の両親とも良好な関係を築けています。

あるとき、私と旦那・義両親・私の両親で食事をしていたときのこと、義妹の学生時代の話になりました。

義妹も学生時代、いじめにあったことがあったそうで、その際に義母は学校に乗り込み、加害者生徒と直接話し合い、見事いじめを鎮静化させたそうです!

そんなエピソードを、私は1つの思い出話として聞いていたのですが……。

母の涙

数日後、母と2人きりで会っていた際「あなたがいじめにあっていたとき、お母さんに学校に乗り込んだり、加害者と直接話したり、もっとしてあげられることがあったのかもしれない。ごめんなさい」と泣き出してしまいました。

母は義母の話を聞いて、当時自分の行動が正解だったのか? と思い悩んでいたようです。

私は母の言葉に「いろんな人がいて、いろんな守り方があると思うの。だから、義母のやり方は1つの方法だと思うし、間違いではないと思う。だけど私は当時、お母さんが『あなたは賢い子』だって励まし続けてくれたことに救われていたの。だから謝らないでほしい!」と、当時を振り返り感謝を伝えました。

随分前のいじめ問題は、当時から現在まで、当事者の私だけでなく母をも悩ませていたのです。

いじめはあってはならないことですが、十数年越しに母とお互いの気持ちを話せたことはよかったことだと感じています。

【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2024年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。

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