近しい身内の介護や老後生活について考えた時、どうしてあげるのが正解なのか、わからなくなる場面もたくさんありますよね。今回は、筆者が知人から聞いた【老人ホームに入った祖母が幸せになった話】をご紹介します。
画像: 渋々老人ホームに入った70代祖母が、天国に行く前に「入所して本当によかった」と言った理由

嫌がりながらも老人ホームに入ることになった独り身の祖母

これは私の祖母が、70代前半で下半身が不自由になり、老人ホームに入った時の話です。

祖父は20年前に病気で他界しており、一人息子だった私の父は仕事で遠方に住んでいたために、地元には戻れませんでした。そのため祖母の介護の話が出た時に、父は祖母を自分が住んでいる県に呼び寄せようとしました。

しかし祖母が「地元を離れるくらいだったら、施設に入った方がまだマシだ」と頑なに言い張ったため、老人ホームに入ることが決まったそうです。

ただ、祖母にとってはやはり苦渋の決断だったようで、老人ホームに入所する直前まで「家を離れたくない」「この歳で集団生活なんて、辛いだけに決まっている」とかなり嫌がっていました。

しかし実際に入所してみると、祖母は見違えるように変わっていったのです。

他人との関わりの中で、生きがいを見出した

祖母が老人ホームに入所してから1年後、当時高校生だった私は、家族と一緒に祖母に会いにいきました。するとそこには、老人ホームにすっかり馴染んで、生き生きした表情を見せる祖母がいたのです。

「お友達がたくさんできて、毎日いろんなお話をするのよ」と嬉しそうに話す祖母を見て、私たちも「おばあちゃんがこの施設に入所してよかった」と安心したものです。

さらに数年後には、老人ホーム内で【恋人】まで作っていたのには驚きました。「私と同じで、早くに奥様を亡くされた人なのよ」と恥ずかしそうに話す祖母を見て「人って、何歳になっても恋するんだな」とほっこりしたのを覚えています。

祖母は15年ほどその老人ホームで過ごした後、天国へと旅立ちました。

最期を迎える数ヶ月前、祖母のお見舞いに行った際に、「この老人ホームに入って、たくさんの思い出ができた。友達といろんな遊びをして恋もして、思い残すことはない」と幸せそうに話す祖母の姿が印象的でした。

最初は「母さんを老人ホームに入れるなんて心苦しい」と辛そうにしていた父も、「無理に呼び寄せなくてよかった」と喜んでいました。

私は、生きていく上で【人とつながりを持つこと】がいかに大切かを、祖母から教えてもらったと思っています。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Hinano.N
不動産・金融関係のキャリアから、同ジャンルにまつわるエピソードを取材し、執筆するコラムニストに転身。特に様々な背景を持ち、金融投資をする女性の取材を得意としており、またその分野の女性の美容意識にも関心を持ち、日々インタビューを重ね、記事を執筆中。


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