「結婚する・結婚しない」「子どもを産む・子どもを産まない」は個人の自由です。しかしまだまだ古い価値観をもった人もいるようです。今回は、筆者が目撃したマリッジハラスメントの実態をご紹介します。
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先生たちの【暗黙のルール】がある幼稚園

娘が通っていた私立幼稚園は、大学の付属幼稚園だったので、短大を卒業したばかりの若い先生がたくさんいました。

じつは、先生方は20代中盤で結婚し、30歳までに出産のため幼稚園を離れ、その後職場復帰しながら第二子・第三子を産むという暗黙のルールがありました。

ターゲットは38歳の独身保育士

しかし幼稚園で唯一このルートをたどっていなかったのが、主任保育士のA先生でした。

当時38歳だったA先生は、体格がとても良く、どんな時でもニコニコ笑顔で子どもたちを包み込んでくれる頼れる保育士でした。

持ち前の明るさと安定感で、保護者からの信頼も厚かったです。

そんなA先生、その年に就任したばかりの女性園長からマリッジハラスメントを受けていたんです。

保護者会で堂々とハラスメントをする園長

新年度が始まってすぐ、保護者会が行われます。

わたしたち年少組3クラスの保護者がホールに集まり、新園長のあいさつに耳を傾けていました。

園長は話が一通り終わり、マイクを置こうとします。

すると、何かを思い出したように、再びマイクを握りしめ…

「いや〜うちのA主任、今年38なんですけどね〜。まだ独り身なんですよ〜。いい人いたら、ぜひ紹介してください!」

と発言したのです。

これには、保護者もドン引きで苦笑いをするしかありませんでした。

A先生ご本人は、耳を真っ赤にしてうつむいていました。

園長のマリッジハラスメントが原因で、1年で転園することに…

園長はその後も、懇談会のたびに保護者に「主任にいい人いたら、紹介してね〜」と言ってきます。

その当時、保育士の先生方の結婚や育休が重なっていました。

学期ごとに、どこかのクラスの担任が産休に入ったり、結婚して苗字が変わったり、園児も保護者も先生方のお祝い事を喜んでいました。

しかし、A先生にとっては園長からのマリッジハラスメントがひどくなる要因だったようです。

ある日、ママ友が幼稚園に忘れ物をとりにいったときです。

教室が閉まっていたので、先生に鍵を開けてもらおうと職員室に向かうと、園長の怒声が聞こえました。

耳を澄ませて、聞いてみると…。

「幼稚園の先生なのに、家庭も持たないし、子どももいないなんて恥ずかしくないの!」

と明らかにA先生に向かって叱責していたのです。

園長にとっては「主任にいい人紹介してね〜」は、あいさつがわりのジョークだったのかもしれません。

しかしその言葉で、大切な部下がどれほど辛い思いをしているのか想像できなかったのでしょうか。

もちろん、結婚や出産は本人の自由で、誰からも強制されるものではありません。

筆者も友人も、女性園長のハラスメント発言が決定打となり、在籍1年で転園しました。

ftnコラムニスト:広田あや子

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