私の営む飲食店は人件費や光熱費の高騰、コロナ借入金の返済などの事情により値上げしないと立ち行かない状況になってしまいました。破れかぶれで現状を打ち明けて、お客様向けに張り紙をしました。不安と迷いの中、値上げ初日を迎えると……。
画像: ftnews.jp
ftnews.jp

コロナで受けた打撃の影響……

私は飲食店を経営しています。最近ようやくコロナの影響で離れてしまった常連さんが戻ってきたので、忙しい毎日を送っていました。せっかく戻ったお客様を逃したくなくて値上げは最小限にしたのですが、お店の努力だけではなかなか支払いが追いつかず悩ましい日々でした。

このままではすぐに立ち行かなくなるだろう、と思うようになりました。ですが、食材のグレードを落とせばお客様が離れるし、人を減らせば自分が休みなく働き命を削るしかありません。

さらにコロナ融資の返済が始まろうとしていました。悩みに悩んだ末、いくら値上げしたら店を継続できるのか、店の実情を正直にお客様に伝える張り紙をしました。

閉店を覚悟した日々

お客様が離れたらもう店を畳むしかない。私はそんな覚悟を持って値上げを断行。私は値上げでお客様が激減すると思い、不安で押しつぶされそうでした。店へ行く足取りは重く、記憶もあいまいなところがあるほど憔悴する中、値上げ当日の朝を迎えました。

これでダメだったら無職か。

そう思って店の前にたどり着いたところ、なんと店の前に人だかりが! 常連さんからご近所さんまで、これまでなかったほどの長い行列ができていました。私は立ち尽くし、溢れる涙をぬぐいながら店へ駆け寄っていきました。

私が店に入るとスタッフはすでに全員出勤し、開店準備が完了していました。

温かい励ましの言葉に涙

「この店なくなったら困るから!」

「今度友達大勢連れてくるよ」

「明日も来るからね」

優しいお客様の言葉に、胸がいっぱいになりました。これからが正念場ですが、私は多くの大切なお客様と優しいスタッフから勇気をもらいました。店を続けられる幸せをスタッフと共有できた素敵な一日となりました。

店を支えてくれる多くのお客様のために、店を続ける努力をしていきたいと思います。

ftnコラムニスト:鈴木まさ美

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.