『ゴミなんだから捨てといてよ！』うちの庭に【ゴミを落としてくる2階の住人】に抗議すると？

憧れの専用庭

Oさんは当時、専用庭つきのマンションを購入したばかり。以前からガーデニングがしたいと思っていたので、小さいけれど庭のあるマンションはOさんの憧れでした。
「これからいっぱい庭いじりしよう！」
ガーデニング用の器具や苗を買い込んで少しずつ自分好みの庭を作っていき、数か月後には家庭菜園も始めようと思っていました。

ある日、Oさんの家のすぐ上の階に新しい住人が引っ越してきました。向こうから引っ越しの挨拶はなく、Oさんも「会ったら挨拶すればいいか」と特に気に留めていませんでした。

上からの落下物

「あれ、なにこれ」
Oさんが庭いじりを始めようとすると、庭に紙屑のようなものが落ちているのに気づきます。
「ゴミか……最近多いんだよな」
2階の住人が引っ越してきてから、毎日のように庭にゴミが落ちているのです。もしかしたら2階の人が落としているのかも、とは思いましたが、ゴミに名前は書いていないので確証はありません。

しばらく様子を見て、もし2階の人が間違えて落としてしまったなら拾って返そうと思っていました。

そしてOさんはある日、庭いじりをしている最中に2階の窓が開き、そこから2階の住人がゴミを何個も投げているのを見てしまったのです。
「明らかにわざとじゃん！」
Oさんは落ちてきたゴミを集め、2階の住人の部屋の扉を叩きました。

「あの、これうちの庭に落とされましたよね？ ゴミ落とすのやめてもらえませんか？」
出てきたのは若い女性。不機嫌な様子でOさんをジロジロ見て答えました。
「捨てといてくれたらいいじゃん！ ゴミなんだからさ」
女性はそう言ってOさんを追い出し、ドアを閉めました。
「なんて人…… 」
ぽかんとして立ち尽くすOさん。たまたま居合わせて全てを見ていた隣人が慌ててOさんに駆け寄りました。
「ここの人、お宅が住んでる1階を買いたかったから嫌がらせしてるのよ。私もゴミ捨てるとこ見たわ」
「そんな、逆恨みじゃん…… 」

意外な落下物

それからも毎日のようにゴミが落とされ続け、Oさんが拾って捨てるの繰り返し。しかしある時Oさんはゴミの中に、キラッと光るものを見つけました。

「指輪だ…… 」
ゴミと一緒に庭に落ちていたのは、結婚指輪らしき銀色の指輪でした。おそらく上の階の住人がゴミを放り投げる時に抜けて落ちてしまったのでしょう。
「これは使えるな…… 」

Oさんは指輪を握りしめ、上の階へ。
「なに、またあんた？」
気だるげに住人の女性が出てきます。左手の薬指を見ると、指輪はありません。
「これ、あなたの？」
手のひらに指輪を乗せて差し出すと、女性の顔色が変わりました。
「ちょっと……返してよ！」
「返すもなにも。ゴミは捨てとけってあなたが言ったのよね？ どうしよう、これも捨てちゃおうかな…… 」

「待って！ 謝るから返して！」
女性は慌ててOさんに謝罪。もうゴミを捨てないと約束しました。

それからはOさんの大事な庭に、ゴミが落とされることはなくなりました。

専用庭に上の階から物が落ちてきて、危険な目に遭ったことのある人もいるとは思いますが、逆恨みでわざとゴミを落とすのは勘弁してほしいですよね。

ftnコラムニスト：緑子