普段天然ぽくてふわふわっとしている人ほど、いざというときに核心を突く発言をすることがありますよね。今回はそんな天然さんに助けられた私の知人、Sさんのお話です。
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夫の実家で法事

Sさんは当時、30代半ば。結婚してまだ3年でしたが、なかなか子どもが授からないことに悩んでいました。

Sさんの旦那さんや義両親は焦らなくていいと言ってくれていましたが、年齢的なことや、Sさんの旦那さんの弟夫婦には子どもがすでに2人もいるということから、少し焦りを感じ始めていたのです。

そんなある日、旦那さんの実家で祖父の法事を行うことに。Sさんももちろん出席し、遠くからやってくる親戚のおもてなしをしなければなりません。

実はSさん、旦那さんの親戚が苦手。顔を合わせれば「子どもは? 」と聞かれることにうんざりしていました。さらに旦那さんの弟の奥さん、いわゆる義弟嫁と比べられることもあり、ますます義実家では居場所がないような気がしていたのです。

法事の日に・・・

「Sさんお久しぶりね! まだ子どもできないの? どこかいい病院探して診てもらわないとダメよ! 」
法事当日、やってきた親戚たちは口々にSさんに子どもはまだかと聞いてきます。
「あなた長男の嫁なんでしょ! 次男の嫁さんはもう2人も産んでるっているのに。子どもの作り方知らないんじゃない? 」
「はあ……」
また始まった、と思いながらSさんは苦笑いをしながらお茶を淹れていました。
「あのー……」
Sさんの様子を見ていた義弟嫁が、赤ちゃんを抱っこしながら口を開きました。
「デリカシーって言葉知ってます? 」
義弟嫁の発言に、親戚一同はぽかんと口を開けました。実は義弟嫁は結構な天然で、空気を読まない発言をすることがしょっちゅうあったのです。
「故人を偲ぶ法事の場で、子どもの作り方とか言うの恥ずかしくないんですか? 」
「それはその……」
口ごもる親戚を見て、義弟嫁は急に冷ややかな口調で言いました。
「そういうデリカシーのない人はお帰りくださーい、なんちゃって」
口調は軽いのに真剣な目つきをする義弟嫁に、親戚もたじたじになってしまいました。

「義弟嫁ちゃん、ありがとうね」
法事の後、Sさんは改めて義弟嫁にお礼を言いました。
「えー? なんのことかちょっとわかんないです。ではまた! 」
義弟嫁は天然ぶりを発揮したまま、にこにこと手を振って帰って行きました。

Sさんは義弟嫁にかばってもらったことで少し気が楽になり、それから親戚に何か言われたとしてもあまり気にならなくなったとのこと。

プレッシャーから解放されたのが良かったのか、Sさんも今では2児のお母さんになっています。

ftnコラムニスト:緑子


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